ブルックリン美術館で、「DEATH TO THE LIVING, Long Live Trash」展が開催中だ。ブルックリン在住のアーティスト、デューク・ライリーの作品約250点を集めた個展で、すべてアメリカ北東部の海岸で集めたゴミを使った作品だ。海洋汚染の深刻さを突きつける展覧会だが、ウイットがそこかしこに感じられる。環境汚染の深刻さを認識しなければいけないのは自明の理だが、そこだけを考えると、本当に途方もなく、無力感に襲われてしまう。気が滅入ると、「見たい」という気力もそがれてしまいがちだ。ユーモラスな表現をすることで、見る人を惹きつけ考えさせる、そうした意図が感じられる展覧会だと思った。
展覧会会場の入り口で来場者を迎え入れるのは、壁一面に張りだされたカラフルなイラスト。さまざまなゴミが、まるで海を泳ぐ熱帯魚の大軍のように描かれている。
中に入ってまず目につくのは、釣りで使うルアー(疑似餌)。ライリーがビーチで拾ってきたタンポンのアプリケーター(プラスチックできたタンポンを挿入するための器具)を加工してつくったものだ。タンポンを使うことのない男性がよく思いついたなぁと、感心してしまった。
ライリーが、タンポンのアプリケーターを使ってルアーをつくる様子を見せる動画も上映されている。
実際に、このルアーをつくって魚を釣れることを証明する動画も見せている。
ライリーが拾ったゴミにペイントして、イラストを描いたオブジェもたくさん展示されている。よれよれの使用済みコンドームが波にぷかぷか浮かぶ様子も描かれていて、見る人をくすっと笑わせる。
貝殻とタンポンのアプリケーターをびっしりと散りばめてつくったモザイク画もある。
モザイク画とイラストを描いた生活雑貨を、17世紀から18世紀の時代のアメリカの家のインテリアの一部として見せるセッティングも。時を超えてゴミは残る、まさに「ゴミは長生きする」ということだ。
会期は2023年4月23日までと、約10カ月に及ぶ。ロングランで開催するのは、ブルックリン美術館も海洋汚染問題を突きつけるこの展覧会を多くの人に見てもらいたいということだろう。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)