ニューヨークで今思うこと(杉本佳子)

2020/04/28 17:36 更新


世界で一番新型コロナウイルス感染が広がったニューヨークは最悪の時期を脱し、入院者数や死者数などが下降し続けている。とはいえ、今でも州単位では毎日1000人以上が新たに入院し、300人以上が亡くなっている(4月28日時点)。現時点での自宅待機命令は、5月15日までだ。このままさまざまな数値が下がり続け、検査が広がっていけば、職種と地域によって段階的に制約が解除されていくとされている。しかし、ニューヨーク州の中で特に多くの感染者が出ているニューヨーク市はいつのことになるのやら。まずは工事と工場が再開され、その後はソーシャルディスタンス(約1.8メートル)が保てて重要性の高いビジネスが優先される。ということは、ヘアサロンやレストランなど、みんなが早く行きたくてうずうずしているところは特に後回しにされそうな予感。ファッションのお店も同様の扱いになるのだろうかと思っている。

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今は地下鉄やバスに乗ることも躊躇せざるを得ない。地下鉄職員の感染者が増えていて感染の面で危ないし、医療従事者やスーパーマーケット、警察や消防署などに勤務する方々などの通勤に邪魔にならないように、つまり少しでも混雑を緩和するために、利用がはばかられている。私ももう1ヶ月以上地下鉄に乗っていない。

スーパーマーケット、ドラッグストア、魚屋さん、銀行、酒屋さんなど、営業しているところはどこも入店制限をしていて、行列ができている。先日の土曜日は、朝8時10分頃にホールフーズマーケットに行ってみたが、あまりにも長蛇の列であきらめた。ホールフーズは写真の一番左端のビルで、行列は写真に収まりきれないほど長かったのである。スーパーマーケットで感染することを恐れ、宅配を頼む人たちも非常に増えている。


今は、日によって時間のずれはあるが、だいたい朝9時半くらいからデブラシオ市長の記者会見が始まり、11時半くらいからクオモ知事の記者会見が始まる。ビジネスコンファレンスが重ならない限り、それを視聴するのが日課になっている。

クオモ知事の会見の中で出てきた、今でも強く印象に残っている発言がある。4月7日に出てきた「Remember it is about “we”,,,not “me.”」というものだ。自分のことではなく私たちみんなのことを考えて、つまり自分が感染しなければいいということではなく、みんなが感染しないようにしなければいけないということを覚えていてほしい、という意図の発言だ。


先週聴いたビデオコンファレンスでは、「ウエルネス(健康)は自分に取り入れるだけでなく、他人にも、土や空気や水などの自然、農家の人などにも取り入れていかないといけない」という発言が聞かれた。

マスクも、「自分を守るためではなく、人を守るためにする」という言い方が、テレビを見ていて出てきた。

最近流れているアマゾンのテレビコマーシャルでは、配送センターで働く人たちがマスクをつけているところを映し出し、「我々の従業員を守っている」「我々が家にいることを可能にしてくれているすべての人たちのために」というフレーズを入れている。



同居していない家族や恋人たちは、「愛する人を守るために、愛する人に生きていてほしいから会わない」という選択を強いられている。

こうした思考や現象はコロナ前には見られなかったし、考えられなかった。この新しい思考は、今後のビジネスやマーケティングにますます影響を与えていくだろう。この新しい思考を理解しない企業は時代遅れになっていくのだろうと思う。

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89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ

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