「ヨーク」(寺田典夫)は10月19日、東京・北青山に路面の旗艦店をオープンした。外苑西通りに隣接したビルの2階で、総面積は約200平方メートル。広々とした空間を美術館のように見せるしつらえに力を入れた。
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「感動することってそうたくさんないなかで、店を出すなら人の心に残る空間を作りたいと考えていた」と寺田は話す。壁で仕切られた入り口を入ると、石で作った什器が交互に並んだ景色が広がる。それぞれ高さも異なり、オブジェのようにたたずむ天然石に、柔らかな質感で色彩の豊かな洋服を掛けて見せている。
「ノグチミュージアムで見た石のオブジェの感覚を反映しながら、モノと人、人と人がつながる空間をイメージした」という。壁も、天井と床に溝を作って柔らかな影を残す。ゆったりと座れる椅子も設置した。部屋の奥には変形四角柱のミラーを設置し、イレギュラーに反射して映る像が不思議な気持ちを誘う。節々には、寺田がコレクションしてきた様々な時代の椅子を展示する。
旗艦店限定の商品も揃えた。スパイバーの人工たんぱく質「ブリュード・プロテインファイバー」を50%使った天じくのTシャツ、秋冬の発想源のピエール・スラージュの作品の質感を表現したセーターなど。それらは、織りネームのQRコードを通じてブロックチェーンでつなぐ。商品の詳細とともに所有者が分かるアプローチを導入した。