【パリ=小笠原拓郎】シャネルのショー会場となるグランパレには、今回もまたパリを代表する場所がしつらえられた。秋冬はセーヌ川沿いに並ぶ古本市「ブキニスト」がある街並み。しかも、そこにはシャネルにまつわる本ばかりが集められている。そんな街並みを背景にして見せた新作は、サイドのデザインを強調したもの。アイコンのツイードジャケットはショルダーラインからスリーブにかけてジップが走り、袖口を大きく開けている。ボトムはサイドに大きくスリットを入れたスカートで、そのスリットから下に着たミニのボトムが見え隠れする。
ジップディテールにキラキラとしたビジューや刺繍のトリミングがされ、袖の開き具合もジップによって自在に楽しめる。ロンググローブでエレガントにまとめ、裏地の鮮やかな色をのぞかせる。びっしりとメタリックな刺繍をしたトップからウエストで切り替えたボトムは、柔らかくフルイドラインを描いたり、フリルを重ねてバルーンシルエットを作ったり。フェザー刺繍の動きやメタリック素材のキルティングのボリュームには、秋冬のプレタポルテのトレンドも感じる。それを背景にしながら、シンプルなカットにオートクチュールの手仕事を散りばめた。
(写真=catwalking.com)