【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】19年春夏ミラノ・コレクションは、フェミニンな傾向が前シーズンより一層強まっている。主力アイテムはドレス。ウエストから腰あたりまでは緩やかに体に沿い、腰から下はセミフレアかタイトなシルエットを描く。リゾートやクラシカル、70年代風などテイストは様々だが、どれもエレガントで女性らしい。ラグジュアリーブランドはもちろん、カジュアルなブランドも多く発表している。
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アニオナは上質な素材とトーン・オン・トーンを軸にしたエフォートレススタイル。白、マスタード、テラコッタ、赤、落ち着いた色を全身同じトーンでまとめていく。ダブルフェイスカシミヤのミルキーホワイトのコートは背中をヨーク付近でスラッシュしたディテール。ジャケットやトップにはワッペンのようなワンポイントでインダストリアルなムードをプラスする。
艶やかなデニムのインパネスコート、天じくニットからプリーツが流れ落ちるドレス、上質な風合いゆえにシンプルなカットが際立つ。鳥のプリントにプリーツを入れたスカート、ボタニカル柄にスパンコールを重ねたスカートなどでナチュラルでリラックスした気分を取り入れた。
ここ数シーズン、マルニといえば会場のしつらえも楽しみの一つ。今回は色とりどりのベッドがびっしりと並べられた。様々な色のリネンで包んだあらゆる形のベッドが座席だ。ベッドに座ってショーを待つ気分は、女性的でインティメイト。コレクションでも女性らしい丸みのシルエットと肌感が強調された。
ウエストにフィットして腰から緩やかにフレアを描くドレスは、繊細に仕立てるのではなく、張りのある生地をざっくりとつまんでフォルムを作る。そのラフな感じの仕立てがクラシカルなデザインをモダンに見せる。柄は、女性の体の彫像。そこに鮮やかな色が自由にペイントされている。あえて起用したふくよかなモデルの丸みが、コレクションのイメージを象徴している。
(写真=大原広和)