23~24年秋冬ニューヨーク・コレクション・メンズ 自然とアウトドアを都会の服に

2023/02/20 06:29 更新


 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】23~24年秋冬ニューヨーク・コレクションのメンズは、自然やアウトドアに関連したラインが目立った。

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 クロス・アイド・ムースは、デビューコレクションをメンズのグループプレゼンテーション、ニューヨークメンズデーで見せた。「都会で生まれた自然のための服」をコンセプトに、素材とディテールでアウトドアの機能性をふんだんに盛り込み、色、柄、レイヤードで楽しさを加える。速乾性や撥水(はっすい)性の素材が多い。ダーツを入れて動きやすく仕立てたパンツは、ポケットが八つも付く。ジャケット、シャツの胸や袖に付けたポケットは、ファスナーで外してポシェットとして使うことが可能。コンパーティブルパンツは、ショーツとしてはくときに外すファスナーの色を左右で変えた。「こうすればファスナーでつなげるときに左右で迷わないでしょ」とデザイナーのニラン・アヴィサー。イスラエル出身で、「ディーゼル」と「アレキサンダー・ワン」のメンズでデザイナーとして経験を積み、クロス・アイド・ムースを立ち上げた。


クロス・アイド・ムース(写真=Randy Brook)

 クオンはデザイナーの石橋真一郎がコロナ禍以来初めてニューヨーク入りし、カレイドスコープのショールームでアポイントメント制で見せた。刺し子風の機械刺繍で入れた雪の結晶、スキーウェアをアレンジしたようなジャケット、どこか温かみのある色と素材は石橋の故郷、盛岡の雪に着想した。裏地に凝る日本の文化にヒントを得て、オリーブで染めたナイロンのジャケットの裏地に2色のフリースを使い、リバーシブルに仕立てる。コーデュロイは生地の状態で釜に入れて染め、天日干しして柔らかい表情を出す。きもの風の襟や袖を付けたジャケット、組みひもをフードまわりに付けたフーディー、有松絞のシャツなど、クオンらしいこだわりと優しいニュアンスが光る。ウール・コットンのセーターは、コットンを炭やブルーベリーで天然染めした。天然染めは色落ちが早く、経年変化による表情の変化を想定している。

クオン(写真=ブランド提供)

 デジタルで画像を公開したNハリウッド・コンパイルは、70~90年代の登山用ウェアがタウンユースに変容した様からインスパイアされたコレクション。機能をミニマルに整え、鮮やかな黄色など楽しい色を加えた。アートディレクター兼グラフィックデザイナーの丸井元子が担当したビジュアルは、虹色の照明が明るく面白い。今シーズンは尾花大輔の監修のもと、長年のクリエイションを共に作り上げてきた企画チームがデザインを担当した。

Nハリウッド・コンパイル(写真=Genki Ito〈symphonic〉)


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