古着の3peaceとRESTAが業務提携 商品の安定供給と小売りノウハウを共有

2025/07/25 11:00 更新NEW!


次世代の古着ビジネスが生まれる可能性も

 古着の2社が業務提携した。3peace(スリーピース、神奈川県平塚市、加藤雄大代表取締役)とRESTA(リスタ、大阪市、佐々木一騎代表取締役)だ。古着の安定的な商品供給と小売りノウハウの獲得という両社が抱える課題の解決を目的に相互補完を進める。

(小川敬)

相互補完で課題解決

 スリーピースは17年創業で、関東・東海地方を中心に「古着屋スリーピース」と卸倉庫を運営している。こだわった商品ラインナップとZ世代向けの独自のSNS、ブランディング戦略によって古着ブームの波に乗り、業界トップクラスに成長した。

 卸売り倉庫の一般開放という独自の販売方法が話題を呼び、有名ユーチューバーをはじめとしたインフルエンサーによる拡散や自社SNSの活用でユーザーの関心を集め、わずか2年で古着店15店と三つの卸倉庫を運営するまでになった。

 店舗は、陳列方法やレイアウトから小物にもこだわり、消費者・業者を問わず人気が高く、高品質低価格なアイテムとの相乗効果により多くのファンを獲得している。しかし、すべての店舗と卸倉庫を支え続けるだけの物量の確保や各販売場所への最適な在庫の配分、商品の店舗間移動による再配置といった仕入れや物流の問題に直面していた。

 一方、リスタは無人販売の古着店「#古着de行こか。」を15都道府県で40店以上運営している。無人の店舗運営に特化したノウハウ、ワークフローを構築し、属人性を徹底的に排除した事業運営を行っているのが特徴だ。ただ、有人の店舗を持たず、無人店舗の販売ノウハウしかないことが課題だった。

 卸販売も行っており、無人古着店をはじめ全国の古着店に商品を供給する「古着卸クラスワン」を運営している。古着事業者専用の卸倉庫を滋賀県と群馬県に持ち、毎週LINEで入荷商品の写真を届けながら、通販と現地販売の2軸で全国の古着店に対して安定的に商品供給する卸売りモデルを構築している。

 滋賀県の拠点は総面積6600平方メートル以上と古着業界でも国内有数の巨大倉庫群で、パキスタンやタイ、米国などから直貿で輸入しており、約30万着の商品を常時回転させている。この古着供給能力が無人古着店を2年間で40店以上出すことを可能にした。

月間30万着を扱うリスタの滋賀倉庫

物流の中枢の役割

 今回の業務提携で、スリーピース店舗の一部商品がリスタのクラスワンの倉庫から直接出荷されることになる。しかし、「スリーピースの仕入れ先がリスタになる」というだけの話ではなく、スリーピースから得ることができる現場の売れ筋や商品回転率、客層、天候の影響、地域傾向などの生の情報を基に、リスタが商品をチューニングして供給する「現場連動型の商品供給モデル」の実現を目指しているのが特徴だ。

リスタの倉庫からスリーピースの店舗に納品する

 リスタはただ商品を供給するだけでなく、倉庫を介して商品の店舗間移動も可能になり、スリーピースにとっての中枢倉庫の役割も担う。



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事