アライドアーキテクツ(東京)が提供する運用型UGC(ユーザー生成コンテンツ)活用ツール「レトロ」の導入件数が伸びている。売り上げは21年に比べ2倍以上になっており、大手企業の導入も増えている。レトロはUGC活用の設計、実行、検証までトータルでサポートするのが特徴で、今後はアパレル分野への拡大を狙う。
UGC活用のすそ野が広がっている。これまでベンチャーやイノベーターの導入が多かったが、大手企業の活用も積極的になっている。クッキー規制やデジタル広告単価の上昇を背景に、サイトへの集客方法の見直しや顧客体験価値の共有によるLTV(顧客生涯価値)向上に取り組む企業が増えているためだ。
レトロは成果を出しやすいUGC活用を志向し、設計、実行、検証を回す。「UGCをどこに、どれだけ、どんな内容で活用するかで効果は大きく変わる」と村岡弥真人同社取締役CPO(最高個人情報責任者)はいう。トップ、カテゴリー、商品詳細の各ページでコーディネート画像の投稿か、実際に使用した感想なのかなど、使用するUGCを変える。ページの構成もキャッチコピー、表示枚数、表示方法のデザインなどを改善する。設計段階でABテスト(施策判断のための試験)を連続して組むので、精度の向上が速い。
UGCを集める方法も多様だ。既存ファンに購入の1週間後、CRM(顧客管理)システム上で投稿を呼び掛けたり、同社が運営するクチコミ生成・活用サービス「モニプラ・ファンブログ」でモニター募集したり、商品発送の際にUGC投稿を促すチラシを同梱(どうこん)するなどだ。〝やらせ〟対策も徹底し、フォロワーや露出の数を重要視しない。「購入に結び付くUGCは誰の投稿かではなく、ここが便利だったという生の声だったりする。継続的なブランド育成のためにも、中長期的な価値にこだわる」(村岡取締役CPO)。
レトロは現在、食品、美容、飲料のシェアが高い。今後はUGCと相性が良く、広告の代替になりやすいファッション分野で拡大を目指す。
また、ECだけでなく、コミュニケーション、CRM、オフラインの同梱物などマルチチャネルでUGCの活用を広げる考えだ。