1型・1サイズなのに男女を問わずに着られる、しかも生地は使われなくなった在庫品を生かすことで、世の中からロスを減らす――。アバンダンティズム(愛知県岡崎市)が12月19日に発売したのはそんな服だ。「毎シーズンのようにロスを生み出すファッション業界に疑問を持ち、長く使い続けられる服」(樋口雄太さんと大島ユカさん)を目指した。
パターンは一つだが、身長180センチの男性でも150センチの女性でも着られるのには工夫がある。ジャケットの袖に2個のボタンを使い、折り返したり伸ばしたりして調整できる。裾は前から見るとラウンド、後ろは直線にした。襟は3通りに着こなしを変えられる。
パンツの裾は大きく取った折り返しで調節できる。ウエストは男性のLサイズを想定しながらひもで絞ることができる。ベルトループはなく、女性がウエストインではいてもミニマルな表情になるデザインにした。
アパレルや縫製工場が使えなくなった生地から気に入ったものを選ぶため、2セットしかできないものもあった。その分、希少性は高まる。全部で9種類・30セット作る予定。上下セットで3万6000円、3万8000円、4万円。高級スーツ用の細番手のウールのほか、綿コーデュロイ、チェックのウールなど上質でコストパフォーマンスは良い。「古着を参考にして型紙を作った。今後も売り続けられれば利益につながる」とする。
岡崎市にあるアバンダンティズムのショップの客やSNSを通じて知った人から、発売前に予約が入った。「在庫生地を使って物を大事にする考え方や、気に入った服を長く着ることに共感してもらえる人に買ってもらえればいい」