人気インフルエンサーでモデルのTAKUMA氏は、22年春からノットイコールの運営で、新ブランド「アビセア」を始める。生産数を絞るなどサステイナビリティー(持続可能性)を意識しながら、TAKUMA氏のSNS総フォロワー数500万人の規模を生かし、ブランディングを進める。
(高塩夏彦)
1カ月ごとに新作
アビセアは、ジェンダーレスなアパレルブランド。販路は主にEC期間限定店を予定している。デザインは全てTAKUMA氏が手掛ける。春夏、秋冬といったシーズンを定めないのが特徴だ。
1年分のイメージを伝えるアイテムを一定数発表し、そこに1カ月ごとに新作を加えていく予定だ。22年4月の立ち上がりで企画したのは、クラッシュ加工したGジャンとデニムパンツ、ウエストのドローコードを絞ってワンピースのようにも着られるロングパーカなど約20型。若年層の客を意識し、ほとんどの商品が2万円台に収まるようにした。
TAKUMA氏は、大学1年生の時に友人から「インフルエンサーを目指そう」と誘われてSNSを始めた。常に話題を集められるよう、流行を徹底的に調査して投稿内容に取り入れていく方法で、フォロワーを増やしていったという。この知名度を使ってビジネスをしたいと考え、いくつかのブランドのディレクターなどをしていたが、「自分自身のファッションブランドを通して、環境問題などへのメッセージ伝えたい」と感じるようになり、アビセアを立ち上げた。
ブランドの運営方法で、TAKUMA氏の問題意識を表現する。過剰生産を控えるサステイナブルな運営を前提にしつつ、プロパー消化率を高めていく。初期ロットの生産数を少なくし、完売後の再販は受注生産に切り替える計画だ。主に発展途上国で問題視されている低賃金労働や児童労働を避けるため、生産は可能な限り国内で行うなど、生産地の選定にもこだわった。期間限定店などに持ち込むハンガーは、廃材をリサイクルしたものを用意した。
ライブ配信でショー
500万人を超すファンとの距離の近さも大切にする。立ち上がりの商品は、ライブ配信のファッションショーで一般客にも披露した。今後は、新型コロナウイルスの感染状況を見つつ、ファンも会場に入れる形式でのショーを計画する。4月29日~5月5日にラフォーレ原宿で行う期間限定店には、TAKUMA氏自身も店頭に立ち、直接接客する予定だ。
将来的には、海外販路の開拓や直営店のオープンも狙う。TAKUMA氏は、「自分は話すのが得意ではないので、伝える手段にファッションブランドという形を選んだ。これから大きく広めていきたい」と語った。