アマゾン・ファッション・ウィーク東京19年秋冬「ジェニーファックス」ボリュームで遊ぶガーリースタイル

2019/03/20 06:29 更新


 アマゾン・ファッション・ウィーク19年秋冬の初日は、ここ数年で力をつけたブランドから久々にウィークに参加したベテランまで、それぞれ生産背景や見せ方までこだわった個性を見せた。

(須田渉美、写真=加茂ヒロユキ)

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 らせん階段のある建物を会場にしたジェニーファックス(シュエ・ジェンファン)は、ファンシーな配色とボリュームのメリハリを生かしたガーリースタイルを見せた。コミカルなボーダー柄のソックスやタイツ、ボリュームのドレス、そのフォルムを解体、再構築して変わったバランスにして遊ぶ。

 目を引くのはビッグシルエットの襟。水色のツイードのブルゾンには肩から伸びる大きな襟が取り付けられ、ブラの上にフリルの付いたセーラーカラーを着用したスタイルも。薄ピンクのボアのワンピースは胸元をフリル付きのレース生地で切り替え、その上に白い丸襟のアクセサリーを重ねる。

 ボトムの見せ方も、ユニークなレイヤードが新鮮だ。キュロットをずり下げて、白や黒のブルマをのぞかせたバランスがユーモラスだ。

ジェニーファックス

 前シーズンに続いて、インスタレーションを組み合わせたドレスドアンドレスド(北澤武志、佐藤絵美子)は、ショー会場のフロントに警察署の取調室を設置。時計の秒針の音と共に始まり、14体のメンズコレクションを見せた。

 対になったモデルが、モノトーンの配色やディテールの異なったアイテムを着て登場し、内面と外見の二面性を表現するかのようだ。マスクを付けた対の一人は下着姿になってその場に残り、もう一人は舞台裏の小部屋に入っていく。シャツ、トレンチコートはバスト下からカットされ、引き締まったウエストが露出される。

 丈の短いパンツを合わせたダブルブレストのジャケットには、ネームホルダーがアクセサリーのようにぶら下げられている。

 ショーの最後にはカーテンが開いて、小部屋に入ったモデルが立ち並ぶ。一つひとつのアイテムはベーシックで特徴のないものだが、静けさを感じさせる空間の中で、直線のラインと素肌のコントラストを生かし、丁寧な作りの洋服を浮き立たせた。

ドレスドアンドレスド

 アオイ・ワナカ(和中碧)は休日のご褒美をテーマにした大人のリラックススタイルを見せた。袖下にギャザーを寄せてルーズ感を出したトップにハイウエストのワイドパンツを合わせ、ホック仕様のパンツ下をランダムにブーツイン。メンズライクなスタイルに、くしゅっとしたシルエットを織り込んで女性らしさをバランスよく表現する。

 トラッドなワイドパンツ、ストライプ柄のサテンのドレスの上には、ハーネス。ウエストから二つのミニバッグをアクセサリーのように下げる。

 重たく見えがちな素材を軽やかに見せるテクニックも見どころの一つ。ケーブル編みを表現したレースでセットアップやコンビネゾンを作ったり、縫いぐるみのようなフェイクファーのロングベストにライダーズジャケットの前身頃をドッキングさせたりと、モダンで洗練されたスタイリングを並べた。

アオイ・ワナカ

福島の地場産業に新たな風を

コシノジュンコが12年ぶりのショー

 12年ぶりに東京のファッションウィークに参加したコシノジュンコは、福島の伝統工芸、地場産品の事業者と協業する「フクシマ・プライド・バイ・ジュンココシノ」をショー形式で披露した。

 福島県と16年度から取り組んでいるこのプロジェクトは、東日本大震災で被害を受けた伝統産業、途絶えかけた技を未来へと継承すべく、デザインの力で「新たな風を吹かせる」物作りにチャレンジしている。これまでインテリア、ライフスタイル製品を発表しており、3年目となる今年度は県内の10事業者が参加した。33ルック、55着のアイテムを見せた。

 山ブドウのつるで編み上げたビュスティエには、光沢のきれいな2配色のワイドパンツを合わせる。リブニットのドレスは構築的に切り替えてスカート部分に立体変化を出し、流れるドレープのニットコートにはモノトーンの配色で風景のような模様を表現する。産地の技術と福島の自然の美しさを生かし、モダンな日常着やフューチャリスティックなコスチュームを作り上げる。

 ショーの後半は、透明感があり、うっすらとメタリックな光を放つ薄いプリント生地で作ったマントをダイナミックになびかせた。

フクシマ・プライド・バイ・ジュンコ・コシノ


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