〝引き算〟のお直しが人気のショップ

2016/01/15 06:00 更新


 愛知・瀬戸に、県内はもちろん、関西、関東圏からも客を集めるセレクトショップがある。井口敦子さんが手掛ける「アトリエ・トレ」だ。国内外のデザイナーブランドを販売するとともに、店に併設したアトリエで洋服のお直しやリメークを受け付けており、それが人気の秘訣(ひけつ)となっている。単なる丈詰めやサイズ直しではなく、今のファッション感覚にのっとったお直しをしてくれる店として、口コミでファンを広げている。

 

買い付け品もトータル提案


 店があるのは、名鉄瀬戸線・尾張瀬戸駅から徒歩数分の場所。名古屋の中心街の栄から、急行電車で約30分だ。瀬戸物製造やその輸出で発展した街だけあって、駅前には古い商家がいくつか並び、アトリエ・トレはそのうちの一軒。明治43年に建てられたという井口さんの実家の一部を店として使っている。元々は、瀬戸物の貿易会社だったという空間だ。

土間
玄関入ってすぐの土間に、買い付け品を陳列している

 アンティークのシャンデリアを飾った土間に陳列しているのは、買い付けたウエアや雑貨類。日本の「ディウカ」や台湾の「オースティン・ウー」「チェムス」といった若手ブランドのほか、「デ・プレ」やインナーの「ハンロ」、ジュエリーの「ハジャルアスワド」などを扱う。

土間を上がるとアトリエ空間になっている。お直しだけでなく、一部フルオーダーも受け付けており、取材時は演奏会や社交ダンス大会の衣装を制作中だった  

 土間から室内に上がると、そこがアトリエになっている。ミシンやアイロン台、作成途中のオーダー商品などが置かれており、奥のソファでゆったりとお直しの相談を受ける。スタッフは井口さんともう1人。2人で1週間に5着前後、1カ月で15~20着を仕上げるという。

 井口さんは文化服装学院を卒業後、デザイン事務所に勤務。セレクトショップのオリジナルや交通機関の乗務員の制服、美容部員の制服のデザインなどを手掛けてきた。その後独立し、地元の瀬戸に帰ってパターンオーダーとリメーク業をスタート。買い付け品を含めた店をやるようになったのは15年前。「リメークを始めたら、お客さんが全身でリメーク品を着てくれるようになった。でも、それがおしゃれかというとちょっと違う。リメークと新品を組み合わせて着てくださいと説明しても、なかなかそうは着てくれない。だったら、トータル提案ができるお店を自分でやろうと思って」始めたという。現在の売り上げは、買い付け品とお直しで約半分ずつだ。

時に厳しい率直なファッションアドバイスが支持を集めるオーナーの井口さん

 

続きは繊研新聞で



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