京都造形芸術大 美術館と協業で名画題材に衣装を制作

2019/07/17 06:27 更新


 フランス名画の衣装を誰もが楽しめるものに――京都造形芸術大学は大塚国際美術館(徳島県鳴門市)と協業し、来館者が着用してアートを楽しめる有名絵画の衣装を制作した。空間デザイン学科ファッションデザインコースの有志学生15人が、同美術館の今夏のテーマであるフランスに合わせ、六つの絵画から12の作品を作った。

(小畔能貴)

絵画を〝体感〟

 同美術館は世界初の陶板名画美術館で、古代壁画から世界の美術館が所蔵する現代絵画までを原寸大で1000点余り揃えている。陶板名画とは、陶器の大きな板に原画に忠実な色彩・大きさで転写、焼成、レタッチなどをして完成するもの。色が経年変化せず、原寸の迫力のある形で絵画を楽しめて、記念撮影もできる美術館として人気を集めている。18年に20周年を迎え、18年度の年間来館者数は約40万人になった。

 同大学が名画に登場する衣装の制作協力を開始したのは08年。13年からは毎年協業しており、今年で7年連続の取り組みとなった。同美術館では17年から「#アートコスプレ・フェス」と名付け、名画の衣装を体感できるイベントとして定着させている。

 今年は17日~11月24日にイベントを開き、全体で11の絵画に登場する28着を楽しめる。そのうちの半分以上を京都造形芸術大学の学生が手掛ける。これまで4年生が中心に制作を手掛けていたが、今回から1~4年生合同で行うようにした。

フランスの名画をもとにした衣装。様々な人が楽しめるよう、ユニバーサルデザインを採用している

〝写真映え〟を意識

 制作期間は約2カ月。絵を参考にするだけでは、描かれていないバックスタイルなどの具体化は難しい。学生たちは題材となる絵について様々な角度からリサーチし、作品のイメージを固めていった。様々な来館者が着用できるユニバーサルデザインを採用し、実際に着て撮影した時の〝写真映え〟も意識して、色や素材のアレンジを加えた。

 例えば、ドガの「舞台の踊り子」は、ドレスの中に造花を入れ、上にチュールを重ねて固定するアレンジを加えることで、簡単に誰でも楽しめるようにした。ルノワールの「ボート遊びの人々の食事」では、着脱しやすい仕様にするとともに、スカートの後ろにダーツを盛り込んで可愛くアレンジした。帽子も手作業で造花を装飾し、絵画のような仕上がりを目指した。「セーヌ川の舟遊び」は、フリルをふんだんに盛り込んだほか、後ろに大きなリボンを加えてインパクトを出した。

 ほかにもマネの「笛を吹く少年」、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」などの絵画の衣装を制作した。絵によって大人用だけでなく、子供用の衣装も用意する。

作品の完成後、制作した学生自ら工夫した部分などを説明した


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