旭化成は、キュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」を使ったペーパーヤーン「ベンブリーズ」を開発した。スリット幅や撚りの変化で糸のバリエーションが出せ、ニット糸、手芸用などの新市場を開拓する。
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ベンリーゼは世界で唯一、旭化成が製造する。丸断面で細繊度の糸が作れるキュプラの長繊維の特徴を生かし、美容液の保水性や肌密着性に優れた美容フェイスマスク、ウェットタオル、毛羽が出にくい工業用ワイパー、医療用ガーゼなどに使われている。
ベンブリーズは、新たな用途を探して開発に着手。細幅にスリットし、撚りをかけて糸にする、和紙糸と同じようなアプローチで開発した。和紙と比べて表面が平滑で柔らかく、吸放湿性にも優れる。
今年2月から手芸用の糸で販売がスタートした。スリット幅2センチの太物で、ラフィア(ヤシ繊維)の代替として好評。ラフィアはざっくりした編み地のナチュラルな帽子、バッグなどに使われ、一般向け商品のほか手芸にも使われる。ヤシ繊維より生産性に優れるため、コストメリットがある。
スリット幅は数ミリの細さまで調整可能で、ハイゲージに使えるニット糸なども開発済み。ドライな風合いと柔らかさ、機能性を併せ持ち、イタリアのヤーン展やスピンエキスポ上海などにも出展してグローバルにアピールしている。
同社は原反売りし、スリットや撚り、ヤーンの販売は取引先が行う。