【北京=田中一郎】旭化成の浅野敏雄社長、旭化成せんいの高梨利雄社長は29日、北京で記者会見を開き、「15年度は海外の投資をしっかりと利益にしながら3年連続の過去最高益を達成したい」(浅野社長)と、引き続き増益を目指す考えを強調した。
繊維事業は「各事業が取引先との取り組みがしっかりできているためフル生産、販売ができている」とし、14年度については「2年連続の過去最高益を達成できる見込み」との見通しを示したが、営業利益が大台の100億円を超えるかどうかについては明言を避けた。
16年4月に旭化成せんい、旭化成ケミカルズ、旭化成イーマテリアルズを本体に吸収合併し、「マテリアル」として事業持ち株会社制に移行する理由を浅野社長は、「多様な事業をグローバルにしているので、大ぐくりにした方が良いと判断した」と語った。繊維事業については、「スペシャリティー製品で市場を開拓し収益も高いのでマテリアルでの位置付けは高くなる」との考えを明らかにした。
また、旭化成せんいの高梨社長が4月1日付で旭化成ケミカルズの役員を兼務する人事について浅野社長は、「16年4月から一つの会社になるが、その前にシナジーの芽を作って欲しい」と理由を述べた。
中国事業は14年4~12月期の売上高が約1500億円、前年同期比3・4%増となり、旭化成グループの海外売上高の30%を占めるまでになった。中国で20社、香港に3社の関係会社があり、「自動車、繊維と様々な事業を行っている」(浅野社長)。
今後も「経済発展に貢献したいという思いで事業をやりたい。政治と経済は別だということ」と、中国市場の重要性を強調した。
繊維事業のうちキュプラ「ベンベルグ」は昨年6月に新造設備を垂直立ち上げしフル稼働状態にあるが、償却負担と旧設備の定期修理の影響もあり減益となるものの、他の事業は増益となる。15年度は「その上を目指す」と3年連続の過去最高益に意欲を示した。
「下期にはタイのPP(ポリプロピレン)スパンボンド不織布、スパンデックス繊維『ロイカ』の増設分がどれくらい寄与してくるのか期待している」と背景を述べ、更に「繊維としては未来に向けた投資を今後もしていきたい」と、16年度から始まる新中期経営計画でも積極投資を続ける考えだ。
第16回旭化成中国大賞 曽鳳飛氏が授賞
【北京=田中一郎】旭化成と旭化成せんいは、第16回「旭化成・中国ファッションデザイナークリエイティブ大賞」に中国の曽鳳飛氏を選んだ。北京で29日、授賞式とキュプラ「ベンベルグ」15~16年秋冬コレクションショーを開いた。