カシミヤニット専業のトランス・ファー(東京、カシヤージュ事業部)はオリジナルブランド「カシヤージュ」で海外販路の開拓に挑んでいる。昨年のパリの展示会トラノイに続き、1月にイタリア・フィレンツェのメンズ総合見本市ピッティ・イマージネ・ウオモに出展し、好評だった。パリのショールームとの契約も検討中で、今後は「欧州だけでなく中国などアジアや米国市場にも広げたい」としている。
(大竹清臣)
同社は85年の設立以来、30年以上カシミヤ製品の企画・製造・販売をしてきたが、近年、ベーシックなカシミヤ製品は大量生産・コスト競争が激しくなってきたため、同社はデザイナーブランドなどとの取り組みを強め、企画・技術力を磨いてきた。複雑な編み地切り替えやカラフルなグラフィックを強みとしたオリジナルブランド、カシヤージュで「既存のカシミヤのイメージを覆した冒険をしたい」と立ち上げて6年目となる。
特にメンズラインはアバンギャルドな企画で、18年秋冬のテーマがスローパンク。オリジナルプリントのスウェットとカシミヤのケーブル編みを中央で切り替えたプルオーバー、ジャカード編みでヒョウ柄と有刺鉄線柄を切り替え、オリジナルワッペンを付けたカシミヤ100%のセーター、立体的なカシミヤ100%の編み地を切り替え、前立てなどにレザーを巻き付けたフード付きベスト(15万円)など、若い世代にも響くデザインを意識したという。
今シーズンのテーマに合わせ、ロンドンのロックバンド「パブリックイメージリミテッド」(PiL)と協業したロゴをプリントしたカシミヤセーターやカーディガンを4万円台で若い世代の入門アイテムとして提案する。美術家の横尾忠則さんと協業したカラフルなグラフィックのカシミヤ100%セーターや、オリジナルワッペン付きハンドメイドのカウチンセーター(26万円)なども揃える。
国内の卸し先は個店が中心。海外も展示会出展を継続しながら卸し先を広げる。高額で振り切ったデザインだから販売先は限られるが、ファッション性を軸にコアなファン作りは可能だと強調する。