22年のジーンズ市場では、レディスでの〝本物志向〟の高まりを感じました。具体的には綿100%生地を使った、太めのシルエットで、加工に凝ったビンテージジーンズをアレンジしたアイテムのトレンド化です。
私がディレクションする「レッドカード」でもビンテージ加工に力を入れた2万円台後半の高価格ライン「タイムレス」が伸びています。特にファッション好きのアラフォー世代、大人の女性に好評です。
こうした流れを受けて、今年からはレディスで、加工と洗いにこだわったジーンズ以外のデニム生地やインディゴ染めの服を強化します。シャツ、カーゴパンツ、スウェットなどを企画する予定です。
課題はこうしたアイテムを日本で縫製するのが困難な状況にあることです。一般的なジーンズでも縫製工賃がどんどん上がっていますし、人手不足で納期も長くなっています。トップやカーゴパンツを作るとなると、海外に発注するしかありません。
そのうえで、加工は国内にこだわります。日本の加工技術は世界トップクラス。リアルなビンテージっぽさを表現するには国内工場の力が不可欠です。
レディスは特にそうなのですが、加工のクオリティーが高くないと高感度なお客様には売れません。海外でもできることと、国内でしかできないことを見極めて生産地のバランスを取っていきます。
もう一つの課題は中~高価格帯のメンズ向けジーンズの需要が弱まっていることです。ビンテージの忠実なレプリカなどは古着ブームで人気ですが、コンフォートな服がトレンド化した影響でファッション性の高いジーンズに勢いがないと感じています。