注目!クルーズドレス 

2016/01/08 06:30 更新


 〝クルーズドレス〟が注目されている。日本で豪華客船によるクルーズツアーが増え、これまで限定的だった〝正装〟需要の伸びが期待されるからだ。クルーズ人口の増加がウエアの購買に直結しているとはまだ言えないが、今後も人口増の可能性が高い市場として、フォーマルウエアメーカーでも関心を寄せている。

 クルーズは優雅な船上生活を過ごし、夜にドレスコードがあるのがポイントだ。イブニングドレスやタキシードなどをまとい、華やかに着飾るというファッションを楽しむ場であることも魅力だ。

 日本のクルーズ人口はここ数年伸び続け、14年で23万人(国土交通省調べ)。前年比では微減だったが、これは13年のクルーズ船「ふじ丸」の運航停止が影響したもので限定的と見られる。乗客数に泊数をかけた人泊数は、150万人泊で前年比15・2%増。外国クルーズ船を利用した客の旅行期間が長くなっているのが特徴という。

 こうしたクルーズ人口増でクルーズ向けウエアの需要も増えているようだ。イギンでは約3年前、クルーズ船「飛鳥Ⅱ」内でドレスを試験販売し、需要を分析した。商品開発に生かし、専用商品を提案している。東京ソワールも店頭でクルーズフェアなどを仕掛けてきた。メンズではカインドウエアが多様なフォーマルシーンを想定し、通常のタキシードに工夫を加え、様々な場面に対応できる企画として販売している。

 ここ数年は堅調に伸びてきたが、昨年は韓国船の沈没事故などの影響もあってか、需要の大きな進展はなかったという。人口増ほどの明確なウエア需要の伸びが見えにくい面もある。「買う場所も認知されておらず、例えば香港でのクルーズに、ウエアを現地で買っている人も多いようだ」(イギン)など、依然としてクルーズ向けフォーマルウエアの購入場所が定着しておらず、需要や売り上げはまだ見込みにくい。

 ただ、世界的には参加費用の安いカジュアル船のクルーズが増えており、日本でも今後、カジュアル船を中心に客数増が見込まれている。カジュアル船は友人の結婚式に参加する場合の服装程度でよいとされる。

 20年のクルーズ人口は14年の倍以上の伸びとの予測が大勢。カジュアル船が引っ張ると見られるが、ラグジュアリー船の客数も増えるのは確実で、今後、ウエアの売り場の確立が求められる。客船、旅行、アパレルメーカーや小売りの連携で、需要に対する受け皿を整えることも課題だ。

クルーズウエア独特の需要を分析、商品の開発に生かす(イギン)
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豪華客船で旅する人が日本でも増えている
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