アパレル業界では一般に、顧客の声は「店舗体験」で生かされているが、よりビジネスインパクトの強い「商品体験」についてはさほど生かされていない。アパレルブランドが参考にしているのは「販売数値」と「販売員の声」の二つだ。しかし結論から言えば、どちらも顧客の声としては扱うことはできない。それはなぜなのか?
あいまいな声
まず、販売数値。「よく売れた」時は「顧客満足が高い」とし、「あまり売れなかった」ときは「顧客満足が低い」と解釈する。しかし、この解釈は必ずしも正しくない。というのも、販売数値は顧客が購入した時点での計上。確かにその時点では、販売数値と顧客満足との間に相関があると推察できるかもしれない。
一方、購入後は必ずしもそうならないのは実体験からも明らかだ。「思ったよりサイズが小さかった」「毛羽立ちが目立つ」「お手入れが大変」。このような商品体験は購入後に起こるものである。よって、販売数値だけでは購入後の商品体験の質は分からない。なお、販売数値は、納期や天候、物価上昇などの特殊要因の影響を受けるため、これらの影響も考慮する必要がある。
次に、販売員の声について。ひと言で店舗の声といっても、実際には、「売り手としての声」「接客した来店客の声」「購入者としての声」の三つがある。
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