【ファッショングッズ①】上質ゾーンの商品、業態開発進む

2020/06/19 06:26 更新


 上質志向に対応するファッショングッズの商品、業態開発がテーマになっている。新型コロナウイルス感染拡大で消費が変化する中で、値ごろなゾーンと中高額の上質ゾーンの二極化が進んでいる。コロナ禍で開発はやや停滞しているものの、積極策をとる企業を中心に中高級ゾーンの商品や業態の開発はしばらく続きそうだ。

中途半端は避け、長く使える物を

 コロナ禍により普段使いの手軽な商品が求められる一方で、質にこだわり、長く使える物を求める傾向が強まっている。もちろんコロナ以前からこうした流れは強まっていたが、消費の志向としてより強く見受けられるようになった。

蔵前に新業態

 サックスバーホールディングスはオリジナルブランドの核となる上質業態を東京・蔵前に出す計画がある。当初は今年の夏にオープンする予定だったが、オリンピック開催も延期されたことでずれ込み、年内には開業する予定だ。

 自社ブランド「キソラ」をベースに国産による最上質のブランドに仕上げ、店舗もそれに見合った内容にする。蔵前の店舗を開店後に上質感のある都心型SCに出店していく。

 同社はグレード感を高めた業態の開発に力を入れており、「サックドビジュー」もその一つ。バッグとアクセサリーのセレクトショップで、今年夏に1号店を青葉台東急スクエア(横浜市)に出した。白と薄い青を基調にしたモダンでエレガントな店装で、商品もこれまでより一格グレードを上げた構成になっている。コロナ禍による休店後の営業では、順調に滑り出している。今後は駅ビルを中心に出店していく。

白と薄い青を基調にしたモダンでエレガントな店装(「サックドビジュー」青葉台東急スクエア店)

メンズの〝色気〟

 さらに昨年スタートした、「メンズの〝色気〟のある」上質新企画「ネクストラグジュアリー」は、イタリアブランドなどをセレクトした業態だ。レザー製品を中心にバッグや財布などの小物を揃える。

 現在は既存店で販売しているが、イタリア・ナポリのブランド「アントニオ・クリスティアーノ」で自社仕様の企画を導入してヒットするなど手応えを得ている。今年から新業態として期間限定店を展開する。

ジュエリーはパーソナライズ化

大人の女性狙う

 ジュエリーでは、カスタマイズやパーソナルオーダーのサービスを加えた新しい提案が目立つ。6月24日開業のニュウマン横浜に出店する「SJXW」は、スタージュエリーブティックスの新業態だ。メンズ・ユニセックスジュエリーブランド「SJX」から派生させたレディスブランドで、同社主力の「スタージュエリー」と比べ、量感あるクールなデザインが多い。ターゲットは高感度な大人の女性。ショップ内には、クラフトマンスペースを設け、職人がパーソナライズ化に対応する。中心価格は3万~5万円。10K、18K、シルバー素材もあり、約60型を販売する。

量感あるクールなデザインが多い「SJXW」

豊富なデザイン

 フェスタリアホールディングスも、セミオーダー、フルオーダーに対応した新業態「ディアプリュス・プロデュースド・バイ・フェスタリア」を3月に立ち上げ、1号店を三越銀座店に、6月に2号店を新宿伊勢丹本店に出した。

 セミオーダーでは、ブライダルジュエリーからファッションジュエリーまで100種類以上揃えたデザインから、好みの型とダイヤモンドルース(裸石)を選び、ジュエリー(中心価格帯10万~30万円)を完成させる。フルオーダーのジュエリーもあり、店頭でオーダー前に3Dプリンターで作成されたサンプルを確認できる設備も整えている。「クオリティーの良いダイヤモンドの美しさにひかれ、30万円前後のジュエリーをアニバーサリーにと買い求める人もいた」としている。

セミオーダー、フルオーダーに対応する「ディアプリュス・プロデュースド・バイ・フェスタリア」

素材の質高める

 ミルクは20~30代が中心となっている「エテ」の購買年齢層の拡大を狙う新業態「エテビジュー」を開発中だ。エテビジューは素材のクオリティーとデザインの精巧さを高める。これまでイニシャルなど文字や記号にとどまっていた刻印もイラストを可能にするなどパーソナライズにも注力する。特に百貨店での顧客拡大を目指す。

 価格帯は従来のエテより高い5万~6万円となる。19年11月にエテビジュー渋谷スクランブルスクエア店を出し、他は百貨店を中心に店名変更の形で計8店を出している。今期から新業態として本格的に展開する予定だったが、コロナ禍で延期している。エテビジューのコレクションは継続し、アフターコロナを見据えながら新業態として、計画の再策定に入っている。

購買年齢層の拡大を狙う(「エテビジュー」渋谷スクランブルスクエア店)

バッグ、靴も今までにないデザイン

モダンなフォルム

 バッグのスタイルは今春、自社ブランドとして日本人クリエイターと組んだ「シニエ」の販売を始めた。フランスのバッグ・革小物「ナットエニン」と「オーレリー・シャデイン」のクリエイター系2ブランドの輸入販売もスタートさせた。しかし、コロナ禍により実質的に販売できなかったため、秋から徐々に百貨店、セレクトショップに販売を広げていくことにした。既存ブランドにないモダンなフォルムが特徴で、ミドルゾーンのバリエーションを充実させた格好だ。

日本人クリエイターと組んだ「シニエ」20年春夏物

機能性を重視

 レディスコンフォートシューズ製造販売、アッソインターナショナルは人気が高まっているガーデンツーリズムに対応するシューズ「ナチュラルミスキョウコ」を本格的に販売する。主力ブランド「ミスキョウコ」の新ラインで、ガーデンを巡るのに適したデザイン、機能性を重視している。ナチュラル、本物志向に対応したラインと位置付ける。

ガーデンツーリズムに対応する「ナチュラルミスキョウコ」


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