【入社後や今後の思いは?】「キース」仕入 山崎拓真さん 「勝負して売れた」時がうれしい

2025/12/22 05:28 更新


山崎拓真さん

 企業の成長や存続に欠かせない若手社員。キャリアは短いが、企業の取り組みや仕組みが人材育成にもなっている。モチベーションにつながる経験や、やりがいを促す仕事を任せ、社員が魅力を感じることも重要。期待の若手社員に入社後やこれからの思いを聞いた。

実績と直感を基に利益の最大化目指す

 ルックの「キース」は、マーチャンダイザーの仕事が二手に分かれている。どんな商品を販売するか方向性を決める。それを何着売って利益にするか専門的に考えるのが「仕入」担当だ。責任の重さから、ベテランを中心に担うことが多い。山崎拓真さんは新卒入社後、わずか2年弱で担当に抜擢(ばってき)された。

好きなことを仕事に

 大学時代は経営学を専攻していたが、3年生のタイミングでコロナ禍になった。学生生活の後半は「やることがなさすぎて、とりあえず片っ端からストリートスナップを調べて、好きな服装や着たいものをピックする」毎日だった。

 特に好きなのがヨーロッパのトラッド。そのまま就職活動の時期になり、「好きなことを仕事にしたい」とアパレル業界に絞った。

 ルックに決めた理由は二つ。1年目から本社で実践経験を積める、1対1の面接できちんと向き合ってくれたから。「他社は集団面接で30分のうち1人5分もしゃべることができず、あまり自分のことを見てもらえていないかも…と感じることがあった。ルックは毎度1対1の15分間で、短い時間の中でもしっかりと話を聞いてくれた」

 22年に総合職で新卒入社して以降、配属ブランドはずっとキース。スタートは営業職で7月から一人立ちし、24年1月に「仕入」として声が掛かった。キースは、日本のデザイナーとマーチャンダイザーが本国・イギリスへ行き、現地の情報などを落とし込んで企画生産している。「仕入」はその商品の予算の作成と発注が主な仕事。

 予算の作成は、年間の月ごとの予算組みをはじめ、正価とクリアランスセールで販売する商品の調整など、ブランドの利益を最大化するのが業務。発注では、実際にどの商品を何着売るかの数量を設定する。数字に関しては全て「仕入」の責任だ。

バイヤーに近い面も

 当初はバイヤーを志していたが、「実際に今担当している業務はそれに近い」と山崎さん。マーチャンダイザーが選定したものを見て、「これは売れそう」「これは厳しそう」と判断して数量を決めていく流れで、在庫消化の先見性が鍛えられる。「売れる」と見込んだものが売れた時の達成感も、一番近くで感じられる。

 25年秋冬は、過去の実績と純粋に「可愛い」と感じた直感を基にフェアアイル柄のカーディガンの発注数量を増やしたところ、好調に売れている。「勝負して発注したものが売れた時、すごく楽しい」と話す。

ブランドを象徴するチェックや、フェアアイル柄のアイテムを提案した「キース」25年秋冬

 今後もキースで経験を積みつつ、別のブランドの「仕入」も担当して知識を深めたいとしている。

(繊研新聞本紙25年12月22日付)

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