繊研新聞社主催による、初の「ファッションテックピッチ」が開かれた。同イベントは、ITシステム・サービスを有するベンチャー企業と、事業変革を模索する事業会社との「橋渡し」の場を目指し企画された。
今回は、東京・六本木のヤプリのオフィスを会場に、スタートアップ4社が登壇した。また、ゲストコメンテーターにシップス、ビームスのデジタル・DX(デジタルトランスフォーメーション)担当者を招へい。先進事業者ならではの着眼点から、各社への講評や質疑が交わされた。

スマートEC スマートフォンでの購買体験向上
スマートEC代表 山下健志氏

「スマートEC」は、「スマートフォンで快適に楽しく買い物できるように」(山下氏)とのテーマのもと、スマホでのショッピング体験向上に特化した機能を提供する。商品画像がフルスクリーン表示でき、縦スクロールできるのが特徴。表示速度が速く、色違いなどを横スライドで見られ、同技術で特許を持つ。
カートシステムの改修が不要で、月額費用が比較的手頃な点も魅力となり、有力セレクトショップなどで導入が進んでいる。広告やインスタグラムのストーリーなどでの活用が多い。閲覧商品点数が増えるため「CVR(購入率)が1.5~2倍に伸びる」とのデータも。スマートECから直接カートインできる機能も新たなに加わった。
シェアバッグ 繰り返し使える梱包材で環境配慮
コンベイ代表取締役 梶田伸吾氏

「シェアバッグ」は郵便ポストに返却でき、繰り返し使える商品梱包(こんぽう)材。EC利用客は梱包方法として、シェアバッグを選択できる。日本郵便と共同開発したもので、回収したバッグはクリーニングした後、導入企業の倉庫に戻される。配送で発生するゴミを削減し、脱炭素化を推進する。客は気軽に環境に配慮でき、バッグに付属したQRコードからクーポンをもらえる。
「平均で毎月20~30%の客がシェアバッグを選択する」という。回収率は99.8%に上り、リピート購入が増える成果も出ている。バッグの返却時に客がいらなくなった衣類も回収して、オウンドリセールに役立てるといったことも、利用方法として提案した。
ワンビート AIで在庫運用し欠品率を抑える
ワンビート代表 福山弦氏

「もうけが増える在庫運用」をテーマに講演。「ワンビート」は在庫はあるのに欠品するという店頭の悩みを解決する。同サービスは、導入企業の商品在庫の全SKU(在庫最小管理単位数)をAI(人工知能)で管理し、商品の売れ行きに応じて、リアルタイムで在庫の店間移動や補充に関する指示書を出す。
限られた人員で、店舗をまたいで適切に在庫を管理することや、発注量を決める際、正確に需要を予測することは難しい。「アパレル企業では欠品率が20%近くに上ることが多い」という。これをワンビートを使うことで半減以下に抑えられると説明。「過剰在庫による値引き販売と予測前提の経営を変えていく」と強調した。
ショップリール 動画販促の運用を簡単で安価に
ホロン営業事業本部アカウントマネージャー 岡村耕太氏

「ショップリール」では「ショート動画をウェブサイトに簡単かつ安価に導入できる」(岡村氏)とアピールした。動画直結の購買導線が作れる点や、読み込み遅延を起こさず、多数の動画を設置できる点もポイント。最大10個のカルーセルを配置でき、タッチすると全画面フル動画再生が可能。左下のアイテムボタンから関連商品が出て購入ページへ遷移する。
一つの動画に複数アイテムを入れられるため「クロスセル効果があり、LTV(顧客生涯価値)向上につながる」とする。また、動画の登録、商品情報のひも付け、サイトへの埋め込みといった運用がしやすく、初期費用、月額費用を抑えた設定で「動画は手間やコストがかかり、管理が大変との課題に応えたい」としている。
新たな企業との出合い、絶やさずに
シップス大塚氏とビームス山崎氏が講評
今回、特別コメンテーターとして、シップス執行役員経営企画室DX本部本部長大塚祐史氏とビームス・マーケティング本部本部長兼宣伝販促部部長山崎勇一氏がピッチへの感想を述べた。

加えて、新たなサービスを導入するポイントについて大塚氏は、「サービス内容に違和感があるか無いかと、ROI(投資利益率)の二つを非常に重視している」と述べた。山崎氏は「なぜこれを作り、何を実現していきたいか。それが凄く重要」とした上で、「新しい会社とのコミュニケーションを絶やさず継続することで、アパレル業界が盛り上がっていけると良いと思う」と締めくくった。
(第2回「ファッションテックピッチ」は、6月3日大阪で開催予定。詳細は後日発表)
