フィセル 今期増収、黒字転換へ 自社ECで雑貨・アパレル伸びる

2021/09/17 06:26 更新


 子供服・ベビー用品製造卸、小売りのフィセル(愛知県蒲郡市、清水秀治社長)は今期(22年3月期)、4~7月が終わって前期比1%の増収で推移し、営業・経常損益も黒字転換している。特にECが好調で、コロナ下で苦戦している直営店売り上げの減少をカバーしている。

 ECでは自社オンラインショップが伸びている。自社オンラインでは「ディモワ」「ホッペッタ」など五つの自社ブランドを網羅的に販売しているが、特に基幹ブランドのディモワが堅調だ。定番の子供用食器セット「マママンマ」、抱っこが簡単に出来る「たまごマットおくるみ」など雑貨類のほか、アパレルも堅調に売れている。

 前期は自社オンラインショップだけで、年間3億6000万円を売り上げた。今期は「4億円を目指したい」(清水社長)とする勢いだ。

 売り上げを伸ばすために、インスタグラムをはじめとするSNSでのフィード広告、インターネットでのリスティング広告での販促を強める。また、今期からは妊婦、出産後の母親へ向けた『ゼクシィBABY』に、純広告、タイアップ広告を出稿して、ブランドの知名度アップを図る。

 BtoB(企業間取引)での卸販売も堅調で、特にECショップを展開する小売りからの引き合いが増えている。

 直営店「ディモワ」については、東京・青山の基幹店、名古屋グローバルゲート店は苦戦しているが、阪急うめだ本店、札幌ステラプレイスなどターミナル立地については売り上げが戻り始めた。

 また、「大阪の梅田を中心に当社のブランドが拡大してきた歴史がある」こともあって、10月に阪神梅田本店に出店する。西宮阪急を含めると関西の直営店は3店体制となる。

 阪神梅田本店ではアパレル、ギフト商材を充実して、什器、ディスプレーについもこれまでのものと変え、隣接する阪急うめだ本店との差別化を図っていく。売り場面積は約20平方メートルで、売り上げ目標は月400万円。

10月に出店する阪神梅田本店の売り場イメージ

 ほかにも東西の百貨店や大手ショッピングモールなどから出店オファーがきているものの、ブランディングを優先して考え、出店は慎重に進めていく。

 22春夏以降、サステイナブル(持続可能)な提案も強化する。スリーパーやビブ、ブランケットで長年用いてきた6重ガーゼ生地はこれまで70万メートル生産したが、残反が年々増えていた。その残反をいったん糸に戻して、生地に再生する取り組みや、同社としては初のサーキュラーエコノミー(循環型経済)を意識した商材も出す、

 今期の通期売上高は約14億円(前期比5.3%増)を計画。当初計画は14億5000万円だったが、コロナで直営店の売り上げの戻りが想定以上に遅れていることを考慮した。営業損益は7000万円の黒字(前期は2000万円の赤字)を目指す。

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