「フミエタナカ」24年秋冬 古い物語のように紡いだワードローブ

2024/04/01 15:00 更新


 「フミエタナカ」(田中文江)は赤坂プリンスクラシックハウスを会場に、24年秋冬のショーを単独で行った。テーマは「オールドブックスメル」。子供の頃に好きだった古い本が今の自分を作っていることを振り返った。

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 数シーズン続けた大きな会場でのショーとは異なり、派手な演出をせず、モデルのメイクも抑えめにして、物語のような構成で洋服をありのままに伝えた。冒頭に登場するのは、遊びを利かせたネオングリーン一色のスタイル。キルティングのコートとスカートは、袖や裾に植物のモチーフでステッチ装飾を入れ、アクティブで品のあるセットアップに仕上げた。

 クラシックやクラフト的な手法を用いた、リアリティーを感じさせるバランスが目を引く。トラウザーにはモール糸やテープで緻密(ちみつ)な花柄が刺繍され、ループ編みでフリンジを作ったブラやアームウォーマーと合わせる。モコモコしたテクスチャーが、無邪気な表情を作り出す。同様の花柄刺繍のドレスは、深いショールカラーを背中まで延長し、きもののように素肌を見せる。気品があって、艶っぽさのある後ろ姿がいとおしい気持ちを誘う。

フミエタナカ
フミエタナカ

 前シーズンに登場したチェーンのボディーアクセサリーは多彩になり、肩や袖のレイヤードパーツとして女性らしい魅力を際立たせた。

フミエタナカ

(須田渉美)



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