百貨店がこれまで取り組んできたフロア作りの“常識”を問い直し、改めてファッションの楽しさや魅力を提案する─阪急うめだ本店が婦人服フロアの活性化を狙いとする大規模改装に着手している。
その第一弾として、3、4階婦人服フロアが2日、改装オープンした。ゾーニング手法を一新し、ブランド配置も既存の百貨店では見られない組み合わせに挑戦した。
初日は、3階に「ファッションズ・ナイト・アウト並み」の高感度な客層が来店するなど、既存顧客だけでなく幅広い新規客層で賑わった。3、4階の初日売上高は前年同曜日対比約3倍となり、全館売上高も同40%増と大きく伸ばした。
婦人服を4階に移設し、フロア全体が婦人服売り場となった3階は、モードとシスターズクローゼットの2つのゾーンで構成している。
フロアの過半を占めるモードは、常識的なブランド分類の枠を超え、コレクションブランドからストリートブランドまで国内外のクリエイター&デザイナーブランドを「見たこともない組み合わせや環境」で配したのが特徴だ。
例えば、壁面のひとつの並びは「エンフォルド」「シー・バイ・クロエ」「ラグ&ボーン」「マークジェイコブス」。
一方の壁面は「モンクレール」「サカイ」「クロエ」「バレンシアガ」とヴィンテージジーンズなどを集積した「デニムセレクション」の並びで、いわばラグジュアリーブランドと国内ブランドが入り混じって配される。
購買動向分析から、想定したブランド分類の枠を超えて顧客が買いまわっている現状があり、今回の配置はこうした買い回りを一層高めることが狙いだ。
新設した自主編集・自主販売売り場「D・ラボ」には、アーバンパンク、トラッド&ストリートなど6つのテイストで「ミュベール」「マメ」「オフホワイト」「ルール・ロジェット」「ニコパンダ」「ノナゴン」など国内外の約50ブランドをミックスして編集しており、“モードブランド”の提案数を大幅に増やした。
宝飾の「タサキ」と「マリーエレーヌ・ドゥ・タイヤック」や帽子の「カシラ」もモードの切り口で配し、グレードやテイスト、カテゴリーの枠を超えてモードファッションを楽しめるゾーンにした。
シスターズクローゼットは、次世代顧客の獲得を狙い、唯一年齢軸で構成した。「阪急子女」向けの既存ブランドを残しながら、ストリートテイストの「エイミーインザバッティーガール」、韓国の人気ブランド「スタイルナンダ」などを新たに投入。
「スモールトレンドが多様に共存し、嗜好も変化していくヤング層」に対応するため、ファッション以外を含めて“旬の関心事”を常にバリエーション豊かに提案していく意向だ。
なお、シスターズクローゼットの核ブランドのひとつである「スナイデル」の初日売上高は約1413万円で、新店・改装店の「1店舗あたりの初日売上高の最高金額を更新」(マッシュスタイルラボ)した。
もともと、ラグジュアリーブランドとの買いまわりも多く、今回の改装でその効果が表れたとも言える。