90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。
※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。
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東京・青山 大人のストリートスタイル やっぱり強い?ブランド力
1999年4月15日付
高級な老舗ブランドにチープなブランドを組み合わせたり、ヤングブランドをさりげなく取り入れる人。おしゃれな大人のストリートスタイルは、意外な組み合わせを遊んでいる。「ブランドが分かってしまう服はイヤ」と、シックでミニマルなアイテムの組み合わせだ。
出てきたブランドは、20代では3人が「アンタイトル」。ほかに「ジル・スチュアート」「ポール&ジョー」「ヘルムート・ラング」「コキュ」「ヴェルサーチェ」など。靴やバッグなどの小物では「ルイ・ヴィトン」「ミュウミュウ」「イネス」「フェンディ」「マックス&コー」など、ずらり有名ブランド。「グッチ」のスーツも着るのにGジャンは渋谷109の「ココルル」だったり、「イッセイミヤケ」や「ミッソーニ」のお母さん世代が「カバン・ド・ズッカ」や「無印良品」を組み合わせていたり。トレンドや経済的なバランスも取っている。
買い物をするのは圧倒的に「セレクトショップ」という声が多い。百貨店に行くのは、特定のブランドショップが目当てだ。「『ラブ・ボート』を買うのに、渋谷109では恥ずかしいから新宿アルタに行く」というミセスなど、ヤングでごった返したりしていないショップへわざわざヤングブランドを買いにいくこともある。
99~00年秋冬のトレンドテーマ「ストリートシック」もすでに広がっている。ハイネックのシェルトップや膝丈のペンシルスカート、フライフロントのすっきりスポーティーなジャケットなどを軽快に着こなす人が目立つ。
《記者メモ》
ブランドミックスのやり方は今もそんなに変わっていませんね。大きく変わったのは買い物する〝場所〟です。
(赤間りか)