本と雑貨やカフェを組み合わせた複合型書店が増えるなか、15年11月にオープンした渋谷モディの「HMV&BOOKSトーキョー」(ローソンHMVエンタテインメント運営)が話題だ。CDのイメージが強いHMVだが、商品構成比は本と雑誌が6割を占め、CD・DVD3割、雑貨1割の新業態。5~7階の3フロア(1815平方㍍)に約35万点を揃えた。
特徴の一つが客の興味・関心事を切り口にした編集だ。5階は「世界の食と旅」、6階は「生きるヒント」、7階は「トーキョーカルチャー」をコンセプトにし、そこから派生するテーマごとに、専任の担当者が本やCD、雑貨をごちゃ混ぜで売り場にした。
たとえば「食」(5階)ゾーンでは、本棚ごとに「味の決め手」や「おいしく見せる」などのテーマを設定。味の決め手の棚では、レシピ本と調味料、食事中に聴きたいCDを一緒に並べ、「旅」(同)では沖縄のガイドブックの横にビギンのCDを置いている。「日本の音楽」(7階)にはCDと一緒に、アーティスト自身が選んだ本や映画を揃え、思想や曲の背景などを感じられるコーナーも作った。
関連性の高いアイテムをひとまとめにすることで「単体では興味がなかったものに手を伸ばしてしまうような、好奇心の連鎖を生み、この店で買う理由を見つけてもらう」(田代貴之HMV&BOOKS事業本部HMV&BOOKS企画室統括プロデューサー)のが狙いだ。