「ブランドを諦めようと思ったことは一度もない」。立体裁断を生かした彫刻的なフォルムの服が代名詞のレディスブランド「ディウカ」のデザイナー、田中崇順はそう話す。少年時代にファッションに目覚め、その夢を追う道は決して平坦(へいたん)ではなかった。ブランドを立ち上げて15年目、国内の有力百貨店や、パリやニューヨークなど海外に販路を広げる今も夢の途中だ。
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遠い国への憧れ抱いて
06年、伊トリエステで開かれた若手デザイナーのコンクール「イッツ」で、ミニマルで構築的な服が注目を集めた。当時、ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズの学生だった田中の卒業作品だ。
80年、群馬県前橋市で生まれた。ファッションに魅(み)せられたのは中学2年生の時。野球部に所属し、勉強に熱心な少年だったが、兄の影響でファッション誌を読むようになった。