フレンチシネマの名作『男と女』。
世の中、アニバーサリーものは多々あるが、こちらの「製作50周年記念」デジタル・リマスター版による公開となると、世代を越えたファンの多い作品だけに、注目度はかなり高いような気がする。
さりげないフレンチシックな着こなしがステキなアヌーク・エーメのファッション。そしてforever greenと呼べるフランシス・レイの音楽…
おそらく素晴らしい作品というのは、ファッションもシネマも、そして音楽も、ずっと輝きを失うことがないものなのだなぁ~と思ったわけで。
さて、そんな名作の現代版というわけではないのだが、くだんの作品の名コンビ、クロード・ルルーシュ監督とフランシス・レイの音楽による新作『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)』。
その魅惑の旋律に誘われ、今回のCINEMATIC JOURNEY「男と女 ヴァカンスとファッション」の旅をスタート✈
主人公、アントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)の役柄が映画音楽作曲家と知った瞬間、
「フランシス・レイをはじめとする一緒に仕事をした音楽家を称えたかった」(プレス資料より)
という監督の温かく、そして熱い思いを実感。そしてさらに...
旅は出会いと発見があり、そして愛を育んでくれるもの
そんなことを再確認するかのような、それぞれにパートナーのいる男女が旅先で出会い、そしてさまざまな体験を通じ、より一層ひかれあうというような恋愛ドラマを、まるでドキュメンタリーを見ているかのような仕上がりが魅力の本作。
ひょっとして胸がキュンとするのは、思いの外、「性別不問」かもしれない。
また「私の素の部分がキャラクター作りに役立ったわ」(同上)と語るヒロイン、アンナを演じるエルザ・ジルベルスタイン。南インドの聖母こと「アンマ」の抱擁による祝福のシーンは、まさにその言葉のままだったようだ。
そして、そのアンマとの出会いは、主演のジャンをはじめ、この作品に大きな変化をもたらしたとかで、監督は脚本を書き直したという話。
ところで、インドならではの刺繍やテキスタイルデザインが、より一層エキゾチックな旅情をかきたてるアンナのファッション。たとえば…
☑パシュミナではないかと思われる縁取りのフリルがエレガントなショールの使い方(シーン➀)
☑聖なる場所での純白のコスチュームに施された同色の刺繍(シーン➁)
☑フォーマルなパーティシーンではインドの定番「サリー」と「ティカ」と呼ばれるインドのヘッドアクセサリーのセットアップ(シーン③)
街の風景に自然に溶け込むアンナの衣装を観る度に、全編インドロケを敢行した醍醐味が伝わってくる。
そして、かつて私も旅したことのある、ニューデリーからマドラス(現チェンナイ)、バンガロールなどなど、東京の日常とは全く異なる香りが魅力でもある南インドを巡る旅。
その記憶は今なお、思い出の品「ルビー」と共に懐かしく思い出される。本場のアーユルヴェーダも、ヨガも、アガスティアの葉も…
やや遅めのヴァカンスをとる方も多い9月のCINEMATIC JOURNEY「男と女 ヴァカンスとファッション」!
旅のフィナーレを飾るのは、まさしくタイトルそのものの実在のカップル、ブラッド・ピット(製作)とアンジェリーナ・ジョリー・ピット(監督、脚本、製作)主演による新作『白い帽子の女』。
かつてこの二人が『Mr. & Mrs. スミス』での夫婦役で出会い、実際に夫婦となった今、10年ぶりの夫婦役での共演となる本作。実は、その始まりからしてロマンチックな要素に事欠かない。
というのも、アンジェリーナが一人の女性としての思いを込め、かなり前に書き上げ、温めていたオリジナルストーリーの制作を、夫であるブラッドが製作者そして役者として公私にわたりサポート。
さらに2014年の夏に、ハネムーンで訪れたマルタ島で撮りあげたという数々のいわくつき、なのだから。
ニューヨークから、南フランスの海辺のリゾート・ホテルでヴァカンスを過ごすアメリカ人小説家の夫と妻。すれ違ってしまった二人の心と粘り強い愛。苦悩を抱えながらも、あきらめずに未来へと歩みを続ける、ビターな愛の物語となっている。
そんな本作の見どころは数あれど、やはりなんといってもスクリーンに登場する小道具から衣装にいたるまでの細部へのこだわり度は満載!
手始めとなる旅の必須アイテムのトラベルケース。それもたくさんのLVマークを抱えてブラピが登場する様は見応えあり(笑)。
そして、大半をホテルの部屋で過ごす妻のセクシー&シルキーなナイトウエアは、どうやらイタリアのランジェリーブランド「ラペルラ」。
またブラピの腕には「パテック フィリップ」が時を刻んでいる...and more!!!
ちなみに「本作から」という、アンジェリーナ・ジョリー・ピットというクレジット!それには、特別な何かが込めれているように思ってしまったのは私だけ?
さて、この旅の終わりに前述のシネマにも関連した、あのブランドから届いた待望の新作フレグランス・コレクションのニュースをシェアしたく
情緒溢れる旅を表現したオー ドゥ パルファン「Les Parfums Louis Vuitton」が誕生!
今春、東京・紀尾井で開催され、大好評を博した大規模展「VOLEZ VOGUEZ VOYAGEZ」でも目にした、美しいフレグランスのボトルの数々を記憶している方も多々おいではないかなと思うのですが、1928年に発表し、現在は残っていないフレグランス”Je, Tu, Ilジュ、テュ、イル”。
いつの時代も旅と共にある当ブランドならではの、新たな香りの旅のはじまりは7種類。
その生みの親ともいうべきインハウス・マスター・パフューマーに就任したのは、「香水の聖地」にして、レザーのクラフツマンシップ発祥の地であるフランス・グラース出身のジャック・キャバリエ。
パフュームは、アラジンの魔法のランプのようなものです。蓋を開けると、ある種の魔法が生まれるのです
と語る氏は、2012年に着任されて以来、世界中を巡り、随所で出会った異文化や香りからインスピレーションを得、完成させたという。
私が語りたいストーリーを助けてくれる原料を探しました。中国では、マグノリアや桂花(オスマンサス)、驚くほどに素晴らしい茉莉花(ジャスミン・サンバック)を見つけました。
グラースでは、地元のジャスミンやメイローズを二酸化炭素で抽出させましたが、これはパフューム業界では初めてのことです
シンプリシティを得意とするデザイナーのマーク・ニューソンが生み出したパフュームボトルも魅力の一つだ。
女性に捧げるジェンダーレスな香りのコレクション。発売は9月15日より公式サイトほかにて☆
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中