《対談》ファッションインフルエンサーが語る、今の時代に合ったファッションの伝え方

2022/04/18 06:30 更新有料会員限定


潤間赳郎さん(左)、MBさん(右)

 若い世代や幅広い人に向けて、SNSや書籍、自身の店舗など様々な手段を駆使してファッションについて発信し、多くの人に影響を与えているMBさんと潤間赳郎さん。独自のスタイルでファッションビジネスに取り組む2人に、今のスタンスを取る理由やファッションへの思い、今のファッション業界に感じることなどを語ってもらった。

(聞き手=河邑陽子)

※対談の様子を一部動画にて視聴いただけます。全文は以下本文にてお読みいただけます

 ――ファッション業界に入ってからの活動の経緯は。

 MB 10代でアパレル店舗の販売員になり、店長、マネジャー、バイヤー、コンサルティング、EC運営などを経験し、MBとして活動を始めたのは30歳前後から。海外SPA(製造小売業)が地方まで台頭してきた時期で、マルキュー系のブランドは成長するとイオンモールに出店していたのですが、価格の安いザラが入ってくると客を取られる。好きなブランドが元気が無くなっていくのが分かりました。一生懸命、物作りをしているブランドがパイを奪われるのは、世の中の伝え方が間違っているから。もっと面白いものがあると知らせ、好きなブランドを死なせたくないと思い、MBの活動をスタートしました。ファッションに興味のない人に、興味を持ってもらうことがミッションです。

 初めはブログで、ファッションに興味のない人に響く文章の内容を考え、発信しました。今のファッション媒体は画像や写真が多く、「トレンチコートの気分」など感覚的な表現が目立ち、服好きの人が満足する内容です。そこでブログでは逆に、きちんとした論理的な文章で、分かりやすいユニクロを例にファッションを説明し、きれいに見える組み合わせや、おしゃれに見える公式を紹介しました。

 ユニクロで終わらせないために、ブログの次の段階として、有料のメルマガで様々なファッションの教育を行っています。お金を払うと真剣になるので月500円の課金制にし、有料会員2万人に配信しています。

 潤間 12年前に大学を出て、新卒でインテリアの販売会社に就職したものの、服が好きなので、すぐアパレルのEC運営などを行うシーザライトに入り直しました。仕入れのアシスタントやグッズ担当バイヤーを経て4、5年目で服のバイヤーを担当。5年前、自社で発信するための社内プロジェクトができ、まだユーチューブに企業チャンネルが少なかった時代に、社員3人でユーチューブを始めました。

 初めは自社商品の着こなしなどを紹介していましたが、「ユニクロとブランド物のTシャツの違い」がハネてから、世の中の人が知りたい情報や話題の商品を紹介する内容に移行し、再生数が伸び始めました。2年前には会社に在籍したまま子会社として自分の会社も立ち上げ、ブランドとセレクト店の運営も開始。ファッション好きを1人でも増やしたくて、ユーチューブを軸にインスタグラムでも発信しています。感度の高い人の説明は分かりにくいので、培ってきたおしゃれな感覚を言語化し、感度の高くない人にも分かりやすい言葉でかみくだいて説明することが重要。ブランドや店と利用者の間の伝達係を目指しています。

 今の世の中には様々な魅力的なコンテンツがあふれていて、ファッションの魅力を伝えないと、ほかの分野に客が流れてしまう。後輩のためにもファッション業界を縮小させたくなくて、自ら発信しています。例えば大きめのサイズだけでなくインポートにも強いサカゼンなど、埋もれている魅力的な企業は多い。企業の枠を超えて個人の立場で伝えられ、見た目がキャッチ―で間口が広い自分の強みを生かし、面白い物を探してきて広く知らせることが好きですね。

媒体ごとに対象、内容を変える

 ――様々な媒体でファッションを発信する上での工夫は。

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