インターナショナルシューズは、長くレディスシューズのOEM(相手先ブランドによる生産)を手掛けてきたが、このほどメンズのレザースニーカー「bright way」(ブライトウェイ)を立ち上げた。国産にこだわり、ソフトな履き心地とミニマルなデザインを特徴とする。在庫や型数を抑えて、無理・無駄のないビジネスモデルを目指している。
(山田太志)
同社は1954年に大阪で創業した。新ブランドに挑戦するのは、専務の上田誠一郎さんだ。上京して大学を卒業後、高級婦人靴を販売する企業に就職。店頭業務を中心に5年近く経験を積み、15年に同社に入社した。「正直、家業を継ぐ気はなかったのですが」と笑うが、3代目として継ぐことになった。
試行錯誤の末
工場直結ブランドの「ファクトリエ」との出会い、一般社団法人「ベンチャー型事業承継」や大阪府の「大阪商品計画」への参画などを通じて、次世代に向けた新たなビジネスモデルの構築を模索する。
自社の歩み、業界の構造を振り返ると、売れ残った靴は廃棄処分になることが多く、作り手の思い、職人の技も消費者には伝わりにくいことを痛感した。さらに無駄な物を作らないためにどうするか。試行錯誤の末、あえてメンズに挑戦することにした。
メンズであれば、「流行に左右されず長く大事に使ってもらいやすい」。さらに、「自分がユーザー目線で商品を見ることもできる」。シンプルで、履き心地の良いレザースニーカーを、税込み3万円を切る価格で提供する。「ありそうでなかった商品」という。
ゼロから木型・パターンを開発した。アッパーには姫路産の良質な牛革を、裏地には東京産の豚革を採用。かかとの芯材には高い技術力が求められる本革を使う。現在は製造されていないドイツ製の接着機械などを使いながら、職人が一足ずつ手作業で仕上げる。
大量販売しない
気を付けたのは、「メーカーの独りよがりにならないこと」。消費者が必要としない無駄なスペックは見直し、「シンプルで飽きのこない靴」を追求した。在庫を極力残さないよう、色はホワイトとブラックに絞った。
大量販売は考えていない。ブランドのECサイトを立ち上げ、3月からクラウドファンディング(CF)サイトのマクアケでプロジェクトもスタート。目標額30万円に対し、開始後約1週間で237万円が集まり、好調な出足となった。プロジェクトが終了する6月末から一般販売を行い、レディスサイズも加える予定だ。
セレクトショップや個性派ECなどを中心に販売するほか、ダブルネームでの取り組みやワークショップの共催、仕様を少し変えながら小ロットのOEMなども手掛けたい考え。「物作りの現場をもっと知ってもらいたい」と、月に1回程度の工場見学ツアーも具体化していく。
上田さんは現在32歳。2年前に結婚したが、「自分も職人さんたちも含め、自分の子供に跡を継がせたいと思う会社にしたい」。夢に向けた一歩を踏み出した。