ISO たんぱく質繊維の定義改定 人工も含まれ、含有量80%以上 

2021/12/03 16:14 更新


 経済産業省は12月3日、国際標準化機構(ISO)による繊維の一般名称に係る国際規格「ISO2076」の改定版(11月1日発行)について発表した。従来は天然由来のたんぱく質から作られた繊維だけが“たんぱく質繊維”と定義されていたが、人工的に作られたたんぱく質繊維も対象に含まれることになった。繊維中のたんぱく質成分の含有量に関する規定はなかったが、改定版では重量ベースで80%以上であることが定められた。

 植物由来の原料を使い、微生物発酵によって作られる人工のたんぱく質素材は、環境負荷の低い次世代素材として世界から注目を集めている。バイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は、その開発・製造技術を持つ企業の筆頭。グローバル市場での成長性が期待されている。今回の改定で、人工のたんぱく質繊維が国際標準として認められた上、含有量に関する規定も追加され、「グローバル市場での用途拡大、早期普及、粗悪品との差別化ができる」(経産省)という。

 また、同省は「海外市場では石油由来の材料に少量のたんぱく質が含まれる繊維であってもたんぱく質繊維として販売されている例が見られ、従来の国際規格だと取引上の誤認や消費者の混乱を招く恐れがあった」と指摘。これに対し、内閣府主導の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)で国際規格の改定を提案していた。

 改定についてスパイバーは、「含有量の規定が追加されたため、当社の繊維が良質であることが担保され、流通促進に寄与する」と期待する。



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