IT×ファッション 個人同士のプロジェクト型商品開発

2017/12/27 04:30 更新


 IT(情報技術)業界とファッション業界で働く個人同士がオンライン上で結び付き、アパレル商品を開発するプロジェクト型ビジネスに挑む――EC関連のアースシップの渡辺孝祐氏がプロジェクトリーダーとなり、自身のメンズブランド「メアグラーティア」を手掛ける関根隆文氏がデザイナー、エグゼクティブ向けファッションコンサルタントの吉田諭氏がアドバイザーを務め、大人の男性に向けた洋服を提案する。(大竹清臣)

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 プロジェクトリーダーの渡辺氏は「もともと服が好き。情熱を持った専門家とともに物作りがしたかった。自分はつなぎ役であり、いい意味で一般消費者と同じ感覚の素人でいたい」としている。

 商品開発の第1弾は多機能ブルゾン。モバイル機器などガジェットが多い現代の暮らしにマッチした多機能でスタイリッシュな服が少ないと思い、自分たちで作ることにした。3人はオンライン上のマッチングサイトで偶然に出会った。メンバー全員が30代で青春時代にストリートや古着ブームを経験した世代でファッションへの憧れも強いという。

 旅行や出張、軽いアウトドアなどを想定した多機能ブルゾンは内側にスマートフォンやモバイルバッテリーなどが収納できるポケットをはじめ、パスポートや航空チケット用のファスナー付きポケット、サングラス用のドローコードも付く。撥水(はっすい)のストレッチ生地を使い、ベンチレーション、アイマスクにもなるフード、袖口に外せるグローブ、パッカブル仕様などの機能を盛り込む。

 価格は3万円台の予定。開発した商品は使い勝手や着心地などでアップデートを重ねながら定番化していく予定。デザインや生産管理などを担う関根氏は「本業とは違ったアプローチでのプロジェクト型服作りもいい経験になる」と見ている。

旅行や出張、軽いアウトドアなどを想定した多機能ブルゾンのサンプル

 第2弾はスーツを予定。1回目のサンプルができあがった。主にスーツなどビジネススタイルのアドバイザーとなる吉田氏は「身にまとった人たちが快適な暮らしができる服を作りたい。それはハイブランドや高額品でなくても、作り手(生産背景)も、使い手(着用後の人生)もストーリーが語れる服が理想」と強調する。

 第1弾の多機能ブルゾンは販売開始が来年の夏前を見込む。目標は3000着。販売手法はオンライン上でのクラウドファンディングを計画しており、先行して2月から生産過程や商品の映像やPR動画を流す。オープンなプロジェクトとして買う人にもアイデアを出してもらうなど商品開発のストーリーに参加してもらい、共感の輪を広げたいとしている。

商品開発第2弾の紳士スーツのファーストサンプル



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