伊ラグジュアリー産業に問われる透明性 多層下請けの調査を強化

2026/01/15 06:28 更新NEW!


 【パリ=松井孝予通信員】イタリアのラグジュアリー産業で、サプライチェーンの労働環境をめぐる調査が強まっている。ミラノ検察は昨年12月、複数の高級ブランドに対し、下請け管理や監査手続きに関するガバナンス文書の提出を求めた。報道によると、「グッチ」や「プラダ」「サンローラン」「ジバンシィ」など13ブランドの製品が搾取が疑われる中国系アトリエで見つかったことを踏まえた措置で、個別企業の監視を問う段階から、産地全体の構造的課題に踏み込む動きと見られる。

 背景には多層化した再委託構造がある。北イタリアの産地では、ブランドが委託した中小工房から、さらに中国系業者へと仕事が流れ、最終工程が不透明になりやすく、労働環境や安全基準の把握が追いつかない状況が指摘されてきた。昨年夏には「ロロ・ピアーナ」が労働搾取が疑われた中国系工房との取引を断ち切れなかったとして、1年間の司法管理措置を受けた。「ディオール」や「アルマーニ」でも同様の指摘があり、いずれも不法滞在労働者の低賃金労働や安全基準が問題となった。

 今回の文書提出要請は、こうした個別事案が連続したことを受け、検察当局が企業の組織的監督責任に着目し始めたことを示す。企業側は監査頻度の引き上げや再委託工程の把握など、制度面での強化が求められる。サプライチェーンの透明性は、イタリア産地の強みに向き合う上でも避けて通れない課題だ。労働環境の健全性をどう担保するかが、ラグジュアリーの今後の信頼性を左右することになる。

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