ミャンマー日系企業 工場稼働も物流、出荷停滞

2021/03/18 06:29 更新


 ミャンマーでは労働組合が全面ストを呼び掛けるなど不服従運動(CDM)が拡大、多数の死傷者もでている。縫製工場は稼働できても物流、通関などの滞りなどで出荷が難しい状況だ。三菱商事ファッションは、現地縫製工場職員の出勤率は上がってきたがCDMで港湾やトラック輸送などの物流、通関業務の停滞に苦労する。ミャンマー工場閉鎖を打ち出す企業がでておりタイ、カンボジアなどへの生産移管を検討する。駐在員事務所は2月1日より在宅勤務を実施し、本社と毎日情勢を共有し生産管理体制を維持。客先と相談の上、一部スケジュールを遅らせながら対応している。

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 東レインターナショナルは「縫製は中国とベトナムが中心で影響はほぼない」。ヤンゴンのミャンマー駐在員事務所では現地採用の所長がおり、安全に留意しながら在宅勤務中。ヤンゴンに営業所を持つ田村駒は布帛製品中心に中国、韓国系縫製工場を活用。戒厳令が出された地域に協力工場があったり、襲撃された中国系協力工場もあり、状況を調査中。工場稼働の落ち込みは小さいが、「トラック、通関、コンテナ、船便の手配など様々なリスクがあり、出荷がままならない」。新規受注は日本の営業が顧客と話し込み、バングラデシュや中国などに振り替えている。日鉄物産の出資工場があるバゴー地区はヤンゴンと比べデモの規模が小さく、ほぼ通常稼働。トラック不足による国内物流の乱れ、空輸コンテナの大幅な不足、海上便の乱れなどで荷物が滞留し輸出に影響している。アジアでの生産代替は検討中。

 ヤンゴンに駐在員事務所を持つモリトジャパンの社員も在宅勤務。顧客が多いシュエピタ、ラインタヤ地区の中国系縫製工場が多数放火され、戒厳令が発令。

 中国系縫製工場は操業停止を強いられている。日系縫製工場は3月16日時点で大きなトラブルに巻き込まれておらず、操業を続けるが納期遅れが多発。原因は銀行が休業状態で給与が引き出せず工員が働かないことやCDMで税関、陸空海の物流が混乱していることなど。

 状況の悪化や長期化、欧米諸国の経済制裁強化などで投資の遅れや見直しもでそうだ。イオンモールは23年のミャンマー進出を表明している。「想定していたわけではないが、リスクがあるのは分かっている」(岩村康次社長)と進出計画は維持。ただし「投資が遅れるかもしれない」と開業が遅れる可能性を示した。

ヤンゴン市郊外の様子(写真提供モリトジャパン)
状況の悪化や長期化、欧米諸国の経済制裁強化などが懸念される(写真提供モリトジャパン)


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