キャンプもファッション!(杉江潤平)

2019/02/18 17:00 更新


ご無沙汰しております。紙面の告知もかねて、久々の投稿です。

明日2月19日付紙面で、自分が関わってきたキャンプ特集「SENKEN CAMP BIZ」が掲載されます。「繊研新聞」がキャンプをテーマにした特集紙面を組むのは、70年の歴史で初めてのことです。

紙面では、異業種企業と組んで需要創出に挑むキャンプメーカー・小売りの動きや、アルペン水野社長とスノーピーク山井社長の対談、主要ブランドの戦略一覧、キャンプに絡めたアウトドアアパレルの仕掛けなどについてご紹介します。詳しい内容は、ぜひ明日付の繊研新聞を読んでいただくとして、ここでは今特集を企画した意図について少しご説明ができたらと思っています。

私事で恐縮ですが、キャンプにハマっていまして、3連休以上の休みが取れると、必ず家族や友人たちとキャンプに繰り出します。林間や海辺、湖畔にあるキャンプ場に行って大型のテントを張って、綺麗な景色を見ながらバーベキューをしたり、焚き火を囲んで語らったり。そんな風にして自然の中で数日過ごすと、身も心もリフレッシュできるのが醍醐味です。

太陽と空と緑を体全体で感じられるキャンプは、病み付きになります
愛用の2ルームテントで友人家族とグループキャンプも楽しみます
夜は焚き火を見ながら子どもと語り合うことも

そんな休日の過ごし方を始めて4年になるのですが、キャンプ場に行くたびに思うことは、年々キャンパーがおしゃれになっていること。装いはもちろん、こだわりのテントやギアを揃え、写真映えのするサイトをこしらえる人が増えています。

キャンプというと、もっと実用性重視で、おしゃれとは縁遠いものだったと思います。しかし、現在はお風呂付きや清潔な設備を整えた高規格のキャンプ場が増えたことも影響し、おしゃれな人ほど、生活にゆとりのある人ほど、キャンプを楽しんでいる観があります。実際、ある程度のブランドをテントからタープ、寝袋、キッチンセットなどをひと揃えしようとすると、20万~30万円はかかりますし。

あくまで「ギア」とはいえ、キャンプ用品はその人のスタイルや価値観を表現するファッションアイテムになっているのではないか。「繊研新聞」が報道すべき分野なのではないか。そう思うに至り、少しずつ取材を進めてきました。ある年はキャンプイベントに潜入し、この場でリポートしたこともありましたね(密着!スノーピークウェイ)。

日本オートキャンプ協会によると、2010年前後から環境が変わってきたようです。特にここ5年は連続してオートキャンプ参加人口は増えていますし、17年はキャンプ用品市場も20年ぶりに600億円台に乗ったそうです。

紙面での報道も意識的に増やしてきました。画像は18年7月25日付紙面

ブームの凄さは、自分自身も肌で感じています。人気のキャンプ場は3カ月前にすぐにいっぱいになり、なかなか予約が取れません。チェックイン前にはキャンプ場に入るのも大渋滞。大混雑でテントの真横に、お隣の車が迫っているという時もあります。

昨年、ある海辺のキャンプ場で年越しキャンプをしようと10月に電話予約をしたところ、目当ての区画はその時点で既にソールドアウト。不便なエリアで我慢するしかありませんでした。冬キャンプなのに!

こうした状況で危惧するのは、この盛り上がりが一過性のものになってしまわないか、ということ。かつて日本では80年代後半から90年代半ばにかけてオートキャンプブームがありましたが、キャンパーの中心を担っていた団塊世代が子育てから離れると急速に萎んでいった経験があります。今回の“ブーム”はその時にキャンプを体験していた子どもたち、つまり団塊ジュニア世代が中心なのです。

第1次ブームと同じ轍を踏まないようにするには、どうしたらよいか。今こそファッション業界の発展を目指す当社が、向かうべき方向を指し示すときだと思い、スポーツグループで話し合い、キャンプ特集を発案しました。

制作は佳境。ゲラチェックにも熱が入ります…!

仕上がった紙面内容がご期待に沿えるものになったかは、皆さんに委ねますが、少なくとも紙面でご紹介したキャンプ関連企業は、「キャンプをブームで終わらせない」ということを念頭に、新しいことに積極的にチャレンジし、業界の枠と常識を突破しようとしていました。キャンプ用品業界の“熱量”を感じてもらえれば幸いです。



すぎえ・じゅんぺい 本社編集部所属。編集プロダクション勤務の後、03年に入社。大手アパレル、服飾雑貨メーカー、百貨店担当を経て、現在はスポーツ用品業界を取材。モットーは『高い専門性と低い腰』『何でも見てやろう』



この記事に関連する記事