その後のハドソンヤード(杉本佳子)

2019/04/26 06:00 更新


ニューヨークにハドソンヤードがオープンして1ヶ月が経過した。ハドソンヤードの最寄り駅、地下鉄7番線のハドソンヤード駅から地上に出るためには地下から長いエスカレーターで上がってくるのだが、週末ともなると、「このエスカレーターにこんなに人がいたこと、今までなかった」と思うくらい、びっしり人が乗っている。ハドソンヤードのパワフルな動員力がみてとれる。

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 3月15日にオープンしたハドソンヤードだが、まだ進化を続けている。上の写真の中央にある、キルティングの覆いがかぶさっているような建物は、4月5日にオープンした「シェッド」だ。まだ一部工事中だが、展覧会や舞台芸術が開催されるカルチャーセンターである。ショッピングモールと、オープン時から注目されているモニュメントの「ヴェッセル」の間にある。


 チケットを購入して見るものが多いが、無料で見られる展覧会もある。現在、無料で見られる展覧会は、大きな木の切り株を広いスペースに置いた、現代アートだ。

 

ショッピングだけでなく、こうした経験を提供する場にスペースとお金をかけているのは、ハドソンヤードの1つの特徴だろう。「買い物以外の目的でも来る」要素を加えることは、人出を維持する1つの要因になっていると思われる。

ハドソンヤードのショッピングモールの中にも、経験を提供する「スナークパーク」がある。これはオープン時にスタートしたもので、入場者たちはインスタレーションの中を自由に行き来する体験型ミュージアムだ。初回の「ロスト・アンド・ファウンド」はミラーパネル、フェイクファー、ピンポンボール、布などいろいろな素材でつくられた白いオブジェの中を歩き回るもの。個人的には、28ドル+手数料の入場料を払って入るほどの価値が感じられなかったが、いつも人気で大勢の人たちが行列をつくっている。

 

新しくオープンした施設では、リトルスペインが一番人気がある。スペイン料理のフードコートで、やはり「経験」を提供する上で飲食に勝るものはないのかもしれない。

 

リトルスペインは、週末ともなると、この賑わい。

 

平日も、勤め帰りの人たちが立ち寄る時間になると、大混雑で席の確保は困難を極める。できるだけ5時台までに行くことをお勧めしたい。

 

特に目を引くのは、パエリア屋さん。大きなパエリア鍋をいくつも並べてつくっている様子は、やはり楽しくてワクワクする。

 

スペインといえば、イベリコ豚とマンチェゴチーズ!こんな大きなイベリコ豚がいくつも下がっていたら、ここでもちょっとイベリコ豚とチーズを食べてみたいという気になる。

 

ハドソンヤードは、これから屋外展望台の「エッジ」もオープンする。高さ約335メートル、ビルから最長20メートル突き出した展望台で、西半球最大規模の屋外展望台になる。高所恐怖症の私は行くかどうかわからないが、人気が出ることは間違いない。エッジのオープンに伴い、101階にレストラン、バー、イベントスペースが新たにオープンする。少しずついろいろなものをオープンし、他でできない経験を提供することが、ハドソンヤードが人気を保てる強みとなっていくだろう。


89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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