ケリングは約10年にわたり、女性を取り巻く環境や働き方、ジェンダー平等などの課題について、グループの優先事項の一つとして発信してきた。「ウーマン・イン・モーション」の取り組みだ。
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その一環で、11月の東京国際映画祭で公式プログラム「ウーマン・イン・モーション」のイベントを行った。映画業界における人材育成や教育などを精力的に行う映画監督の是枝裕和さんはオープニングスピーチで「女性が働きやすい現場にしていくことは待ったなしの課題」とし、「監督として良い映画を作ることはもちろん、スタッフが継続して映画製作に関わりながらきちんと人生設計できる環境作りをする責任がある」と語った。
トークショーでは、俳優の菊地凛子さんや磯村勇斗さん、ネットフリックスの岡野真紀子プロデューサーが登壇し、「海外と日本における映画業界の女性を取り巻く環境、課題、未来」をテーマに話し合った。
菊地さんは「出産や子育て、介護の問題など人生の局面でキャリアがストップした後、仕事に戻ってくるためにはどうしたらいいか。映像業界に限らず、意識をもって会話していく必要がある」とし、磯村さんも「女性だけで解決できる問題ではない。性別関係なく、男性も一緒に問題に向き合い、まずは理解していくことが大事。話し合える環境が必要」と語った。
17年に始まった「#ミートゥー運動」以降、世界の映像業界ではさまざまな改革が行われている。相手に対する敬意のある接し方について考える「リスペクト・トレーニング」の導入や、ラブシーンなど不安を感じるような場面で役者をサポートする「インティマシー・コーディネーター」の存在が、持続的に働く環境作りにつながっているという。それぞれの問題を知り、助け合っていくことの大切さが強調された。