止まらない子供服の低価格化 ハレの場なくなり日常着の競争激化

2020/09/29 06:30 更新


 子供服市場がコロナ禍でさらに低価格化する傾向にある。西松屋チェーンが主力商品の価格を下げているほか、SC主力のSPA(製造小売業)、卸向けブランドでも一段と価格を落とした商品の提案が目立つ。

 同市場は西松屋チェーン、しまむら、ユニクロと、低価格が強みの大手専門店の売上高が市場規模の2割強を占める。これらの専門店がシェアを拡大していることに加え、衣料品不振によるセールの常態化、グロウの「デビロック」などEC専業の低価格ブランドの急成長などで価格競争が激化していた。

 在庫問題解決クラウドサービスのフルカイテンが総務省の家計調査をもとに算出したデータによると、婦人用洋服と男子用洋服は15年以降毎年、名目増減率が実質増減率を上回っているのに対し、子供用洋服は下回っており、子供服がデフレ傾向にあることが分かった。

 今年に入り、西松屋チェーンは春夏物の主力のTシャツを税込み448円から399円(本体価格)に下げ、買い上げ率の上昇に寄与したことから秋冬物でも継続する。

 大手専門店と差別化し、〝おしゃれ着〟を主力としていた企業も、コロナ禍でハレの場がなくなり、日常着での戦いが強いられるため、低価格化がさらに進みそうだ。SPAのブランシェスは20年秋物から、EC限定で毎月5型低価格商品を販売する。990円のロングTシャツなど、通常より1000円ほど価格を下げたものもある。ゾゾタウンのランキングで低価格ブランドが上位を占めるなか、これらの商品を投入することで新規客を取り込みたい考えだ。

 今春はF・O・インターナショナルがゾゾタウンで積極的に割引クーポンを発行したことでランキングの上位を独占した。各社がECに注力する中で、ECモールの価格競争もより激しくなることが予想される。F・O・インターナショナルやDILなどの卸向けブランドでも、21年春物で価格を下げた商品の提案が相次いだ。21年4月から消費税の総額表示が義務化されることも、さらなる価格下落の要因になっている。

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