アムステルダムで芸術に触れる旅(宮沢香奈)

2015/09/14 15:50 更新




前回に引き続き、アムステルダムの魅力についてまだまだ書きたいと思う。

今回はアムステルダム市内にいくつもある美術館について。さすがは建築の国オランダの美術館とあって外観だけでも見る価値のある独創的な構造や中世の宮殿を思わせる美しさがあった。

中でも2013年にリニューアルオープンされたアムステルダム国立美術館「ライクス・ミュージアム」は本当に美しかった。

庭園にいるだけでも高貴な気分にさせてくれる。訪れたのは日曜日だったけれど、それほどの混雑はなく、ゆっくり館内を回ることが出来て、広々した宮殿の中で見る世界の名画たちは、たとえ知識がなくとも、時代が残した傑作なのだと充分に伝わってきた。

 

 


 

オランダの画家レンブラント・ハルメンス・ファン・レインやヨハネス・フェルメールなど、中世・ルネッサンス期から20世紀までが年代別に各階に展示されており、画だけでなく、当時使われていた銀食器やジュエリー、衣装までも展示されており、その豪華さに圧倒されっぱなしだった。

個人的に一番感動したのが、最上階に展示されていたピエト・モンドリアンである。

数えきれないほどの印象派名画に感動しながら、最終的には抽象派にぞっこん。イヴ・サンローランの影響は確かにあるけれど、19世紀にあれほどモダンで、絶妙なバランスのカラーコンビネーションを生み出せるなんて、どんな感性の持ち主なのだろう?と、生モンドリアンを前にしばらく考えた。

たとえ、バケーションであっても一日中芸術に触れるという日を作るのはなかなか難しい。ついつい欲張っていろんなところへ行きたくなるからだ。でも、国立美術館にはどんなに時間がなくても絶対に行くべき価値がそこにはある。



 

  

名画より感動してしまったのが「レンブラントの家」である。この表現は決して正しくはないと思うけれど、とにかく”かわいい”のだ。

オランダ特有の暖色系の食器、シーツやカバーなどファブリックたちのスタイリッシュさがたまらなかった。レンガ造りのカラフルな窓の付いた家はまさにおとぎの国の世界に出てくる夢のお家そのものだった。 

 

 

唯一残念だったのが、国立の隣にある「ゴッホ美術館」である。とにかく有名で人気のあるこのミュージアムは毎日長蛇の列が出来ている。

私が訪れた金曜日は夜の10時まで開館されており、アムステルダムらしい配慮は素晴らしいと思ったけれど、中へ入った途端、ビートの聴いたハウスが聴こえてきて驚いた。1階ラウンジスペースでいきなりDJが回していたのだ。

金曜だけに取り入れた催しなのだろうけれど、館内中響き渡る4つ打ちは豪華な館内にも名画にも全くマッチングしておらず、足早に館内を回って外へ出てしまった。

 

  

 

もちろん作品は素晴らしい。次行くことがあるとしたら、平日の昼間、混雑とDJを避けて行きたいと思う。

美術館を回りながら、自分がいかにオランダ建築が好きなのだと言うことが分かった。好みの建築物たちを見つける度、何とも言えない溜め息をつきながら写真を撮り続けていた。

まだまだオランダの旅は終わらない。

 

 




宮沢香奈 セレクトショップのプレス、ブランドのディレクションなどの経験を経て、04年よりインディペンデントなPR事業をスタートさせる。 国内外のブランドプレスとクラブイベントや大型フェス、レーベルなどの音楽PR二本を軸にフリーランスとして奮闘中。 また、フリーライターとして、ファッションや音楽、アートなどカルチャーをメインとした執筆活動を行っている。 カルチャーwebマガジンQeticにて連載コラムを執筆するほか、取材や撮影時のインタビュアー、コーディネーターも担う。 近年では、ベルリンのローカル情報やアムステルダム最大級のダンスミュージックフェスADE2013の現地取材を行うなど、海外へと活動の場を広げている。12年に初めて行ったベルリンに運命的なものを感じ、14 年6月より移住。



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