アルパカの祝祭2014(永松浩介)

2014/11/25 00:00 更新


南米・ペルーに仕事で行ってきました。

8日の土曜日の夕方に成田を発って、20時間ちょっとでペルーの首都リマに。いつもより早い気がしたのは少し慣れてきたからでしょうか。なんせ今回で、(たぶん)4回目のペルーですから。夜中に着いたのでその日は空港のホテルで一泊。翌日昼の便でリマに次ぐ第2の都市、アレキパに向かいました。

アレキパまでのフライトは、途中、活火山があるのでたまに飛んだものの戻ってくることがあるらしいのですが、今回は無事に1時間半ほどで着きました。

えらいとこまで来てしまった印象

高度2300メートルのアレキパなので高山病の心配もありましたが、大した用意もせずにランディング。何となくしんどい気がしましたが、まあ、大丈夫やろとお迎えのバンでホテルへ。

初日はウエルカムディナー以外は何もないので、まずはビールを1本。高山病回避のためには、喫煙や飲酒は法度らしいのですが(知らなかった)、コカ茶を吞んだら大丈夫と言われ、あまり気にしませんでした(が、のちに大変な目に遭う)。

今回の旅の目的は、「Alpaca Fiesta 2014」(展示会や生産者が持ち込むアルパカの品評会など)の見学と、アレキパ本社の2大アルパカファクトリー、ミッシェルグループとグルーポインカの工場視察、その他ブランド取材などなどです。これまでは首都リマばっかだったんで、内陸部というか山岳部は初めてでした。

さて、公式日程初日から、いきなり4000メートル級の高地へ移動します。超高級素材となる希少なラクダ科の動物、ビキューナを見に行く、いきなりのハイライトです。欧米・南米からのプレス、出版関係の総勢10余名でバスに乗り込みスタート。ガイドが脅かしますので、コカ茶だけではやばいと、バサッと10枚ほど掴んで縦横に畳み込んで口に入れ、奥の歯で噛み締めます。

そこいらで売っているコカの葉。お茶として砂糖など入れてよく飲まれる。日本には持って帰ったらあかんやつですね

隣の英国人女性ジャーナリストがチュー(Chew)しろ、というから、あ、ガムみたいにね、と噛み続けていると口内が葉の繊維質だらけになり余計に気持ち悪くなりました。「あんた、噛み過ぎやで」と笑われましたが、(噛め、いいましたやん)と心のなかで突っ込みつつ、口中葉っぱだらけにしながら我慢しました。

コカの葉を身近なものに例えると、料理で使うローリエの葉みたいな感じでしょうか。ローリエほど香りはなくて、その代わり何とも言えない苦みがあります。あー、良薬口に苦しね、と理解すると合点がいき、その後は抵抗無くエキスを絞り出し続けました。

ずっとこんな風景が続きます

バスで2−3時間ほどでしょうか、登ったり降りたりなんで、3000mか4000mか分からなくなってましたが、どんどん頭がズキズキし風邪のような症状に苦しむことに。まあ、そんなこんなしているうちに、ビキューナのふる里のようなところへ到着しました。

そこでは、高地ローカルの人たちがセレモニーの準備をしていました。ビキューナの毛を刈っていいかという許可を土地の神さんにお願いしているそうです(色んな人が色んなことを慣れない英語で言うので正確には分からない)。

なんか楽しそう(というか取材陣に照れている)

ペルーの国章(写真下)にも描かれているビキューナは超のつく高級品です。体毛は動物界で最も細いと言われており、希少性から2年に1度しか刈り込みが許可されていないとか。大人のビキューナ1頭から300グラム前後しか取れないようです。ちなみに、良く知られるアルパカはこのビキューナを家畜化したもの、という説があります。


かつては、毛を刈り、その肉も喰っていたらしいですが、その数が激減したこともあり、数十年前からインカの伝統的な追い込み猟、チャクを復活させ、野生状態のまま保護しているそうです。

支給されたボックスランチ(弁当)を食べながら待つと、うんと向こうからペーター(とおじさんたち)がビキューナを追ってこちらにやってきます。チャクの実演です。


来る


来る


来た〜

警官が厳重に見守ります
かわいいですねー

広い囲いに入れられたビキューナから、雄と雌の一頭ずつを引っ張り出しセレモニー。ちょっと無理矢理に接吻をさせられ、子孫繁栄か何かを祈年しているようです。

にしても、可愛いですねー

セレモニーが終わるとシェイビングの実演。

手際よく電動シェイバーで刈り取ります

後日、上記したミッシェルの店やグルーポインカの工場で見せてもらったビキューナ製品の肌触りは素晴らしく、値段もアメイジングでした(オリジナルレーベルのコートで邦貨で25万円ほど。欧州のラグジュアリーブランドならこの10倍つけててもおかしくないだろうね、とその工場の方が言ってました)。

アルパカもリャマもビキューナもラクダ科なんで、ぱっと見、良くは分からないのですが毛質や体高(サイズ)、使われ方でなんとなく分かるようになってきました。下の写真はリャマですね。輸送用の使役動物で、毛も衣料などにはあまり使わないようです(毛が硬い)。耳が大きく、かっこよさではリャマの方ですね。

体育会系でアルパカより勇ましい

とまあ、他愛も無いレポートで恐縮ですが、こんな環境で生きているアルパカやビキューナを生で見れたのは収穫でした。

この日はマックス4900mまで行き、ガイドやオーストラリア人らと「こんなとこで一服するのは最高ですやん」などといいながら喫煙していたのですが、それが悪かったのか、風邪っぽい症状がどんどん酷くなり、頭がぐあんぐあんして大変でした。

「もう、やばい」とガイドに話しましたが、ここから1500mぐらいから下がったところがホテルやから大丈夫、と言われちょっと安心しましたが、それでも3400m。良いホテルだったのですが、結局、12時間ベッドに伏せていました。あんまりこんな機会はないかと思いますが、高山病には注意しましょう。舐めてたらえらい目にあいます。

2日後のアレキパの食事会ではアルパカの肉が出てきました(というか頼んだ)。昼間に可愛らしい姿を見たあとだっただけにちょっと複雑な気分です。しかし、上質なラムのようで非情に美味しかったです(ごちそうさま)。




永松浩介 THE SENKENおよびプチh、繊研plusの編集責任者が綴るエトセトラ



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