国内ニット産地の企業が、自社ブランドの卸・販売に注力している。自社工場での生産や地元の有力ニットメーカーとの連携を強みに、高品質でデザインにもこだわった商品を販売する。
(関麻生衣)
◆高品質なウール糸で
アンドーニット(山梨県市川三郷町、安藤仁志社長)は、ニットOEM(相手先ブランドによる生産)で75年に創業した。国内で紡績された高品質なウール糸を使い、自社工場で一貫生産している。自社ブランド「ジョリー・ミニョン」を17年春に立ち上げ、30~50代後半の幅広い年代に向けて大人の可愛らしさをコンセプトに訴求する。
得意とするのは上品でフェミニンなワンピースやアウター。18~19年秋冬向けのモヘヤ、モールヤーン、ラメ糸を編み込んで作ったノーカラーのジャケットは、襟周りとポケット部分に装飾したフリンジがポイントで、編み立てた糸と同じ糸で作っている。
商品は全て自社工場で洗いをかけて縮絨(しゅくじゅう)する。手洗いができるようにし、「敬遠されがちな高級獣毛使いのニットを身近に手に取ってもらう」工夫もしている。現在、自社ECとセレクトショップに卸しており、今後さらに販路を拡大したい考え。
◆ポップな柄なども
カシミヤ製品のOEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)のPCH(大阪市、松本哲吏社長)は、自社ブランド「フリーウェイカシミヤ」で、内モンゴル産の上質なカシミヤと、創業40年の大阪のニットメーカーとの連携を強みにする。
天然カシミヤの風合いや色をそのまま生かしたコレクションが最近の売れ筋。ベージュとブラウンのリバーシブルコートは、ガウンのようなシルエットで、さらりと羽織れるタイプ。肉感があり、一枚でも十分な保温力という。価格帯は、「カシミヤ200グラム使用のセーター4、5枚がだいたいの目安」。
定番アイテムには、ぱきっとした黄色やピンク、ブルーといったカラーニットや、インターシャの技術を使った遊び心があるポップな柄やロゴニットなどがある。17年10月に大阪・船場センタービルに直営店を開いた。