リーマンショック後の立て直しに奔走した石原卓児は、13年6月に社長に就任する。14年3月期の連結売上高は400億円。それから10年で倍増し、23年3月期に850億を超えた。知名度の低さや中古品のイメージから、長く悔しさも味わってきたが、物を受け継ぐ「リレーユース」のマインドを継承し、粘り強く追求した。その魅力が今、共感を呼んでいる。
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悔しさをバネに
商品センター創設や人材教育でコメ兵の「信頼」への支柱を作った石原だが、信頼に重きを置くのには理由がある。中古品を扱う米兵商店に生まれ育った幼い日のことだ。
当時は中古品と言えば「ネガティブなイメージ」が強く、友人から「お前のところで売っているのって本物なのかよ」と言われたことがあった。こうした葛藤は大人になり、コメ兵に入社して以降も続いた。「中古って思われたくないので、コメ兵って書いてない袋がいい」。客に告げられ、ふと思った。「大手百貨店の店長だったら苦労しないだろうな」。まさにリユースにとって逆境の時代を生きてきた石原だが、「僕はそこを経験して良かったと思っている」という。いつかお客さんに「あんたんとこでよかったわ」と言ってもらえる中古屋になりたい。大切にしてきたリレーユースと「信頼」で、リユースのイメージを覆したい。そう奮起できたのだ。
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