独フランクフルトにある手工芸博物館(MAK)が今春のリニューアルを機に、現代のデザイン、ファッションといったテーマに力を入れている。
現在「Outer Dark.Continuing after fashion (外は闇。ファッションの彼方で)」というタイトルの下、21世紀におけるファッションの意味を問う展示だ。
中心テーマは、「多彩」「グラマー」「過剰」などと形容される1980年代の後に現れたアンチファッションと呼ばれたデザイナーたちのコンセプト。アレキサンダー・マックウイーン、ヨウジヤマモト、マルタン・マルジェラ他、彼らの流れを汲む欧米の若手たちが紹介されている。
キューレーターによると、ラグジャリーという普遍的な理想があった時代は終わり、個人が独自のライフスタイルを模索する時代となった。
例えばマックウィーンの2009/2010秋冬のショーのビデオでは、洗濯機のホースや扇風機がついた被りものに過去の代表的なモードを纏ったモデル達が、ゴミの山の周りをキャットウォークする。瞬く間にゴミと化すファッションのパラドックスを観客に見せ問いかける。
Alexander MacQueen, The Horn of Plenty AW09-10 (film)
これに対しヤマモトは、”This is my dream”という自身のドキュメンタリーフィルムの中で、トレンドを追うのではなく場所や時を問わず自己表現をできるような服作りを目指しているとし、ファッションの彼方にある何かを暗示する。
ドイツらしい哲学的なアプローチで、ファッションと共に価値観の変化をもなぞることができる。9月15日まで。
Maison Martin Margiela, Haute Couture
Leandro Cano (レアンドロ・カノ、セビリア在住のデザイナー)
Julia Heuse (ユリア・ホイゼ、ベルリン在住のデザイナー,展示)
博物館名:Museum Angewandte Kunst
住所:Schaumainkai 17, 60594 Frankfurt, Germany
連絡先:info.angewandte-kunst@stadt-frankfurt.de
フランクフルト在住。身長152cm。大きなドイツ人の中にいると小人のように見えるらしい。小回りだけは利くジャーナリスト兼通訳。ファッションからヘルスケアまでをカバーする。