京都の中小メーカーが協同受注

2015/03/31 06:35 更新


 京都の中小繊維メーカーが結集し、共同受注を進めているのが「京都物作り工房」。約5年前に小規模で事業をスタートしたが、その後は素材・縫製・裁断・染色・副資材などの中小企業にメンバーが拡大した。現在は協力企業を含めると十数社に増え、受注額も着実に拡大している。

 発起人で、窓口を務めるのは、企画・縫製の「ら・あんぷるーる」(山科区、田中裕久社長)。技術力はあるが、受注や後継者に悩む中小企業に参加を呼びかけた。「京都は横の連携がなかなか難しいのが実情だが、危機感を共有し、皆が同じ立場で情報をオープンにしていることが発展につながった」と田中社長。

 現在、縫製関連では、ら・あんぷるーるのほか田中社長の実兄が経営する田中信、ダブリン&ケントファッションハウス、ヤスデザインワークス、伊藤商店が参画。さらに縫製・裁断のファイブモード土田、CAD・CAM(コンピューターによる設計・生産)の山田商店、仕上げのファッションプロセス光、プリントのSMI、素材のアパテキスタイル、ボタン・レースのサンエス、雑貨・バッグの秋本商会、裁断加工の石坂商店がチームに名を連ねている。

インターネットなどで工房を知った企業や個人から、日に1本は問い合わせがあるなど、既製の服やバッグに満足しない個人やショップ経営者も多い。最近では、30枚の受注から始まった「フリーサイズブックカバー」がその後1000枚、今は月1万枚ペースに育った。

 初めは国内生産だけだったが、その後、ら・あんぷるーるに、アパレルメーカーで中国の生産管理に携わっていた宮崎一幸氏を営業部長に採用。どうしても国産で価格が合わない場合には、中国生産を組み合わせる形もできた。

また、受注が主だが、一部オーガニックコットンを使った子供服の自社ブランドも展開している。将来的には、このブランドを含め、中国に日本製の服を販売するのが夢。現地の出産センターなどにアプローチを始めている。



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