《めてみみ》自店の「MD」

2020/08/07 06:24 更新


 食品や日常品を除き営業を自粛していた百貨店などの大型商業施設が営業再開して2カ月が過ぎた。来場日時指定のイベントや物産展などの催事も始まりだした。各地で豪雨災害をもたらした長い梅雨もようやく明け、真夏らしい気候となった。が、平穏な日常とは遠い状況に戻り始めている。

 感染拡大防止への意識が再び高まっている。都心部にある百貨店では、一時は撤去されていた検温機器が復活し、手指消毒剤の設置数も増えていた。来館客数も、少し前に比べると少なくなった気がする。ファッションフロアを見ると、長期間実施している春夏物の値下げ販売への関心はさすがに薄らいでいるようだった。

 購買意欲を喚起する新しい提案が求められるのだが、高い集客力のある全館規模のイベント休止は当面、続く様相だ。そのため、各売り場、各テナントによるSNSでの情報発信が広がっている。ポイントとなるのが自店の顧客にとっての「適時適品」を深掘りすることだろう。

 5月の営業再開直後、ある都心百貨店の買い上げ率が前年同月に比べて3割上昇した。当時は〝自粛反動〟と目的買い客の来店と捉えていたが、今も目的買いは続いている。ある地方百貨店で聞くと、買い上げ率は6、7月も3~4割上昇している、という。来館客数が少ないためとも言えるが、目的買い客は必ずいるのだ。今、何を求めているのか。それを踏まえて品揃えし、情報発信することが「MD」ではなかったか。



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