「久々に館に活気があふれていた」と東京中心部の駅ビルの館長。4都府県に3回目の緊急事態宣言が発出される前の4月23、24日の売上高は「衣料品を含めて絶好調。レジ前では会計待ちの行列ができ、飲食店は入店を断ったほど」。「リアルな場で買い物したり、食事したいというお客の欲求は強いと感じた」と館長は話す。
昨年4~5月の緊急事態宣言下と同様、今回も対象地域の大半の大型商業施設が休業している。ただし、今回は少し様子が違う。昨年は食品やドラッグストア、日用品以外の大半の業種が休業したが、今回は衣料品を扱う大型店も含め、他の業種の営業も継続する施設が結構ある。客の要望が強い上、行政が営業してもよいとする「生活必需品」の中身があいまいだからだ。
休業要請に応じた施設に国が支給する予定の協力金が1施設当たり1日20万円、テナント1店当たり1日2万円とあまりにも少ないことも大きい。「仮に罰金が取られたとしても、この程度の支援なら、営業を継続した方がよい。このままでは取引先も耐えられない」との声もある。
休業中の多くの商業施設は感染予防対策を最優先しながら、消費者ニーズに応え、苦境に立たされた取引先の販売を支援するためにも早く営業を再開したいと考えている。現場の声は行政に届いているのだろうか。