「年齢軸とテイストで区分されていたことが間口を狭めた」。百貨店婦人服フロアの売り場開発を担当している若手社員の言葉だ。間口が広いはずの区分が今は逆に作用しているという。消費市場の変化に対応できずにきた過去への苦言に思えた。
ヤング、キャリア、ミセス、シニアの年齢区分のフロア構成、大きなくくりとしてのエレガンスとカジュアルのゾーン分類がそれに当たる。百貨店婦人服の売り場作りの長年の常識で、売り上げを最大化するマスMDのベースだった。このMDが機能していた時代は、売れ筋商品をどれだけ確保するかを競いあっていた。
同じようなブランドが同じように並ぶ百貨店の同質化は常の課題だ。セレクトショップやSPA(製造小売業)が台頭し、ファッションビルや郊外型SCの開発が進んでくると、これらの店や業態との差異化が命題となる。結果、百貨店の同質化がより際立ち、客層の間口を狭めることにもなった。
最近の改装では、対象は30~40代などと年齢軸は一定残っているものの、キャリアやミセスといった言葉は消えた。テイストやブランドも多彩になった。コスメや生活雑貨など衣料品以外を投入するところも多い。「まずは婦人服フロアの客数を増やす」。この課題を解決するために、提案商品の間口を広げているのが特徴だろうか。