《めてみみ》日韓の新時代

2024/06/14 06:24 更新


 ソウルから地下鉄で約1時間、仁川港周辺に広がる旧市街を訪れた。近代史に何度も登場する街だ。鎖国政策をとっていた朝鮮王朝に対し1883年、日本を含む列強諸国が開港を要求して、仁川港が開港する。以降、各国が港周辺に租界を置いた。朝鮮戦争時、マッカーサー率いる国連軍が上陸したのも仁川だ。

 仁川駅前から広がるのは旧租界。大きな中華街があり、中国・山東省の華僑たちが伝えたというジャージャー麺が有名で、名店がいくつも軒を連ねている。足を運んだのが日曜日の夕方だったからか、韓国人の家族連れやカップルでにぎわう。

 23年の訪韓日本人観光客数は231万人。中国や米国を超えて、11年ぶりに最多となった。訪日韓国人数695万人には及ばないが、K-POP人気のさらなる高まり、日韓関係の改善などを背景に人の往来はもう一段と活発化するだろう。ファッション業界でも、韓国からの調達やブランド提携、現地販売強化などの動きが再び進んできた。

 仁川には旧日本人街も残る。近年になり、日本家屋を改装したショップやカフェなども整備されてきた。良くなったり悪くなったりと揺れ動いてきた日韓関係だが、過去とはまた違う新しいつながりが生まれてきた感がある。日本が残してきた過去も忘れることなく、特に若い人たちに日韓の新時代を築いてほしいものだ。



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