【PR】ミマキエンジニアリング 「TRAPIS」で描くプリントの未来

2025/06/30 00:00 更新NEW!


 消費者のニーズが多様化するなか、メーカーも幅広い対応力が求められるようになっている。約20年前から東京都内でインクジェットプリントを手掛けてきた郡東京店(東京、郡六勇社長)は、時代の変化に合わせて新たな客先を開拓してきた。昨年末にはミマキエンジニアリングが開発した捺染顔料転写システム「TRAPIS(トラピス)」を導入、ナイロンや合成皮革といった幅広い素材に一つのシステムで捺染プリントが可能な強みを生かし、バッグでの商品作りから活用を始めた。事業運営を担当する郡一司さんにTRAPIS導入の経緯や事業における可能性について聞いた。

1998年にインクジェットプリントを先がけて導入した郡東京店

 当社は福井で繊維ビジネスを経験した父(郡六勇社長)が上京し、1962年に婦人用の裏地販売でスタートしました。しかし縫製が国内から海外にシフトするのにつれて裏地販売も徐々に縮小していきます。表地で活路を見出そうと、98年にインクジェットプリンターを導入しました。海外縫製で生地の現地調達が進みましたが、オンデマンドプリントによる高品質な表地なら海外製の生地と差別化できるだろうと。採用したのは生地に直接プリントする染料インクタイプで、当時、東京都内では同業他社に先がけた導入だったと思います。

郡東京店の郡一司さん

昇華転写にシフトし、内製化

 染料プリントだと当社では設備が限られるため、前処理や後工程の蒸し・洗いを外注しなければいけません。そこで極力自社で生産をコントロールできる方式の、昇華転写プリントに着目し、10年前にこちらにシフトしました。

 私自身はアパレルメーカーへの勤務を経験した後、父が経営するこの会社に入りました。DCブランドに勢いがあった時代で、当社のプリンターもそうした先に多く活用してもらいました。ただし、「イラストレーター」や「フォトショップ」のようなデザインソフトが今ほど一般的ではありませんでしたから、データ作成には苦労しました。デザイナーさんが描いた紙の図案をもとに、時間をかけてこちらがデジタルのデータを作り込んでいくといった対応をしていました。

色表現が豊かな「TRAPIS」。捺染顔料インクをいったん紙にプリントし、生地に転写する

自社ブランド「レイコアオキ」でバッグに活用

 TRAPIS導入にもつながるベースとなったのが、自社ブランドの立ち上げです。05年にスタートしたニューヨークテイストのイラストが特徴の「レイコアオキ」で、バッグや小物雑貨といったグッズ制作をおもに昇華転写プリンターで行ってきました。スタートして以降、根強いファンを獲得でき、自社ECのほか、百貨店のポップアップなどで販売しています。

 またコロナ下でアパレル向けの動きが止まったなか、イベントグッズの販路を開拓できたことも大きかった。専門業者との接点ができ、応援グッズのタオル、はんてんといったアイテムを手掛けています。

 一方、昇華転写では対象素材がポリエステルに限定されるので、もう少し幅を広げていきたいと以前から考えていました。そんななか、昇華転写プリンターを購入しているミマキエンジニアリングから新しい捺染顔料転写のTRAPISが発表されたと聞きました。TRAPISは昇華転写と同じように捺染顔料インクをいったん紙にプリントし、それを生地と重ねて転写する方式です。昇華転写はポリエステルにしか転写できませんが、TRAPISはあらゆる素材に転写できるのが大きな強みです。

TRAPIS専用転写機を使い、生地や素材に合わせて条件をコントロールしながら転写紙から布への転写作業を行う

あらゆる素材にプリント、アイテムの広がりに期待

 自社ブランドの「レイコアオキ」はバッグが中心なので、ポリエステルに加え、ナイロン、合成皮革といったこれまで手掛けていなかった素材にプリントできればアイテムの幅が広がると可能性を感じました。同じ紙転写ですから、これまでの昇華転写のノウハウが生かせると感じたのも導入を決めたポイントです。ナイロンは従来の染料プリントでは設備が大がかりになりますし、合成皮革への捺染に対応した方式はこれまでほぼありませんでしたが、TRAPISは顔料インクを使いながらシンプルな紙転写ですから、こうした幅広い素材にも対応できます。

 昨年12月にTRAPISのプリンターと専用転写機を導入し、企画開発を進めています。TRAPIS専用転写機は、顔料転写に必要な高圧力がかけられ、素材の種類によってこれをコントロールします。また圧力をオフにすれば昇華転写に使用することもできます。TRAPISは素材によって最適な転写条件を見極める必要があり、生産ノウハウを蓄積しているところです。一方、転写速度は昇華転写よりも短い時間でこなすことができ、慣れれば高生産で対応することが可能です。何より昇華転写は競合が増しているため、新しいシステムであるTRAPISにシフトし、一歩先へ進みたいと考えています。

合成皮革・綿麻・綿・ナイロンなど様々な素材にプリントし、アイテムの幅を広げる

複合素材への対応に評価、有力ブランドで実績

 TRAPISを導入して以来、少しずつノウハウを積み、すでに有力デザイナーブランドに採用されるなど、手応えを感じています。最近の生地は混紡・交織などの複合素材が増えており、従来の手法ではプリントできないケースも多くあります。TRAPISならこうした素材にも対応でき、これがデザイナーブランドにも高く評価されました。

ナイロン、合成皮革への転写で技術確立し、商品化へ

 自社ブランドの「レイコアオキ」では、技術確立できたナイロンを商品化し、6月末には販売を開始する予定です。続いてモノにしたいと考えているのが合成皮革。このプリントがうまくいけばアイテムを広げられると期待しています。

 また、自社ブランドをきっかけにBtoB(企業間取引)のプリント受注につなげていきたいと考えています。まだ試せてはいませんが、ウールなども可能。プロセスが簡単で、あらゆる素材に対応するTRAPISの強みを生かし、お客様のニーズを形にしていきたいと思います。

幅広い素材に対応したノウハウを蓄積している真っ最中

ミマキエンジニアリングの捺染顔料転写システム「TRAPIS」

URL:https://japan.mimaki.com/product/inkjet/textile/trapis/

お問い合わせ先

株式会社ミマキエンジニアリング

【HP】https://japan.mimaki.com/inquiry/

企画・制作=繊研新聞社業務局



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